彼はちょっとすねながら
「…行きましょうよ!!」
と、俺を無理やり連れていこうとした。
「わかった!わかったから放せ!」
イケメンは満足そうな顔をして、俺の手を取り、エレベーターまで引っ張っていった。
彼は本当に無邪気で、兄のように俺を慕ってくれていた。
そして、自分に気を引かせたいのか、よくスキンシップもしてきた。
その態度はどこか愛に飢えているような印象を受けた。
最上階にある自販機に行くことになった。
エレベーターに乗っている途中、二人きりだったので、俺はよろめいたどさくさまぎれに彼にもたれかかってみた。
すると、後ろから大きな手で俺の肩を両手でしっかりと支えてくれた。
「大丈夫っすか!?」
「う、うん…。」
正直、彼の暖かい手にいつまでもこうされていたかったけど、彼には彼女もいるし我慢した。
でも時々、こんな感じでノンケに慰め(?)てもらっていた。
「俺に任せてください!」
そう言って俺を担ごうとしたが、恥ずかしいので断った。
それでも、彼は俺の肩を支えながらゆっくり歩いてくれた。
逆に歩き辛かったが、それくらい優しい性格だった。
ジュースを無事買い、俺の部屋に戻ってきた。
「そういえば、あいつ知りません?」
「あぁ、なんか彼女とデートだって。」
「…いいなあ。同じクラブやからいつでも会えるもんな。」
「そういえば、祐介(←彼の名前)の方は?上手くいってるん?」
彼は急に嬉そうな顔に変わり、
「センパイ!秘密っすよ!」
と言いながら、自分のケータイ画面を見せてきた。
彼女からのメールで、彼への一途な思いがつづられた微笑ましい内容に思わずこっちも幸せを感じてしまった。
「俺、幸せっす。死んでもいいですー。」
と言いながら、俺の肩に頭を乗せてもたれかかってきたので、俺は変にドキドキしなければならなかった。
それはさておき、彼が一目ぼれし、告白するまで相談を受けていたので、俺も自分のことのように嬉しかった。
しかし―
「よかったやん!順風満帆やな。」
俺が言うと、彼は急にしょんぼりしだした。