続き書くの、遅くなって申し訳ないです。ちょっと風邪をこじらしていて……。こんなに後ろのほうにスレッドがいってしまいましたが、目に留まったらまたみてください。それでは続きです……その前に、いつも返信を残してくれている皆さん、ありがとうございます。すべて読ましてもらっています。そして励ましてもらっています。それではその人たちのためにも、続きです。
ひどい目にあった大史との日曜日から一日後、次の日にはいつもと変わらない日常がまた始まった。大史と一緒に学校へ通って、同じ教室で授業を受けて、放課後には俺は学校の野球部に参加し、大史はサッカーがあるときはすぐに帰ってそちらへ向かう。そうそう、俺は結局野球部に入部することになった。帰宅部とかも考えたけど、早くに家に帰って何をするのか、想像もつかなかったから、野球部に入部することになったのだ。
そんな忙しい毎日が続いていた。気がつけば高校に入って半年が過ぎようとしていて、中間テストも終わり、期末テストが間近に迫り、夏休みがすぐ目の前まできていた。すっかり高校生活にも慣れ、クラスメイトともうちとけてきた。
期末テスト週間に入り、部活は活動一時休止で、授業が終わるとすぐに帰宅させられるようになった。
そんな時期だった。
今日は四時間で授業が終わり、いつもより早くに帰ることになった。ホームルームが終わり、みんなが帰りだす。大史はというと、終わりの挨拶をした瞬間、カバンを肩に担いで、俺の肩をぽんとたたき、すばやく帰っていった。去り際に、「じゃあね」とだけ言った。
「今日もサッカー?」
「うん」
「じゃあな」
そうして、大史とわかれた。
俺は大史以外にほかに一緒に帰る人もなかったから、帰る準備を整えたら、ゆっくりと一人帰り始めた。
校門を出ようとしたときだった。後ろから俺の名前を呼ぶ声がして振り返った。
見ると、見たことある女子だった。それは、クラスメイトの女子といつも一緒にいる違うクラスの女子だった。その女子が今も俺のクラスメイトの女子を引き連れて俺に向かってきた。
「なに?どうしたの?」
俺は何がなんだかわからず、アホ面をしていたと思う。しばらく返答を待っても、俺を呼び止めた違うクラスの女子は一向に口を開こうとはしなかった。
それに痺れをきらしたのは、俺ではなく、俺のクラスの女子のほうだった。後ろに控えていたが、友達を押しのけて俺に話しかけてきた。
「あのね、きいちゃんが話があるんだって」
なるほど、違うクラスの女子は、きいちゃんと呼ばれているらしかった。
「こんなところで話すのもなんだし、澤田くん、一度戻ってくれない?」
「えっ、ああ、いいよ」
べつに断る理由もなく、俺は連れて行かれるがまま従った。上履きに履き替えて三階まで上って、校舎の一番端まで連れて行かれた。そこは音楽室前の廊下で、校舎でも一番端で、なかなか人が訪れない場所だった。
そこに連れて行かれるなり、俺の前に、その、きいちゃんと呼ばれた女子を配置し、その子の肩をぽんとたたいて自分は帰っていった。
ここまでのシチュエーションを作られて、今から何が行われるか、わからないヤツなどいない。もしそんなヤツがいたら、どんなに鈍いヤツか。でも俺は自分が告白されるとはこれっぽっちも思っていなかった。いや、そりゃあ、20%くらいは思っていたけど、80%は思っていなかったのだ。それもこれも、大史のせいである。前にも言ったけど、大史と俺は幼稚園からの付き合いで、いつも一緒にいた。小学生のころから大史はいつもモテていたのは知っていた。でも小学生はまだ無邪気で、「本人」に好きだと告白して、俺が巻き込まれることはなかったのだ。いつからだろう、本人に告白することなく、「俺」に「大史が好き」なんだと告白されるようになったのは。たぶん最初は中2の夏の記憶だったと思う。そう、このくらいの時期だったのだ。本人に直接言やあいいものを、俺にわざわざ大史が好きなんだけどと相談にくる。そのたびに俺にどうしろって言うんだよ!って叫びたくなったが、そこは頼れる男のように聞いてあげた……イライラしながら。
そしてそのイライラを大史にすべて吐き出すのだ。おまえが好きだってヤツがまた俺に相談にきた。もうおまえ、俺から離れろ!俺に近づくな!っていう具合に。すると、大史はいつも苦笑して、そんなカリカリしないでよ。仲良くしていこうぜ!というふうに楽観的に返されるのだ。俺はそれを聞いて泣きたいような嫌気がさすような、変な気持ちになって、諦めに似たため息をはくのだ。そんなプロセスをかれこれ5回は経験している。
話はずれたが、つまり今回もそういう類なのではないかと思ったわけである。だから、素直に俺が告白されるとは思わなかった。
しかし、予想は外れて、彼女は俺が好きだと言ってくれたのだ。
「入学したころから、みいちゃん(俺のクラスメイトの女子、さきほどの)話すために澤田くんのクラスに行っていたんだけど、そのときから気になっていた。そして、この前、部活で野球をしているところを見て、もっと好きになりました」という感じで告白されたのだ。
俺は思いもよらなかったので、驚きと嬉しさも人一倍だった。俺も、自分のクラスメイトの女子と一緒にいる彼女を知っていたし、普通に顔も整っていて、かわいいなとは思っていた。女の子らしいところも、横目で知っていたし、良い子の印象は受けていた。別に悪い印象もなかったけど、特別好きだという思いもなかった。だからいきなり付き合うのは彼女に悪いと思って、友達からなら、と言って返事をした。すると彼女は笑って、嬉しい、と一言言ってくれた。
一通り話がつくと、どこに隠れていたのか、さきほどの女子が現れて、良かったじゃない、と祝福してくれた。
その後は、みいちゃんの提案で、きいちゃんと呼ばれた女の子と一緒に帰ることになった。しかし彼女はこの高校近辺の子だから、自転車でいつも通っていて、今日は彼女が自転車を押して、俺を駅まで見送ってもらうかたちとなった。
不思議と会話は続いて、彼女のいろんなことがわかった。きいちゃんと呼ばれていた女の子は坂口 貴意(サカグチ キイ)(貴意の漢字がわからない)と言って、名前そのものできいちゃんというあだ名らしかった。
坂口さんとの帰路は普通に楽しくて、たった15分程度だったけど、満足できた。
駅前で、「じゃあまたね」と言ってわかれた。