「ええよ〜。例えばどんなんよ?」率直に優史の考えが気になった。
『メルアド教えて、とか。昨日携帯買ってん。』と携帯をポケットから出してニッコリ。当時、クラスで持ってなかったのは、優史だけだった。
「そんぐらい今教えたるわ、アホ。」
クラスで、最初に聞いたのが僕らしく、またそれも嬉しかった。
テスト9教科が終わり、テスト返却日になった。学校全体はざわめいてたが、理系クラスは静かだった。
数学は、クラスで一番やった。幸先がいい。
物理も、平均より遥か上で、今回調子がいい、そう思った。
でも、あとの結果は平均程度で、地理は欠点だった。
『俺んちで結果出すか。』
ちょっと焦ってる優史を見て、地理は数学が埋めてくれることを信じた。
「せやな。覚悟決めるか。」
『俺んちなんもないから。』
なんとなく想像はついた。
「わかったわかった。あさったるから。」
高校から徒歩5分の優史の家。
外面塗装はかわいらしいのに、部屋のなかはモノクロな壁紙絨毯。殺風景な、ほんとうにあとは黒いシーツのベッドと、ガラス天板のテーブル、本棚だけ。
「マジであさるとこすらねぇのなぁ。」
俺の、部屋に入っての第一声だった。
テーブルに向い合わせで座り、出されたグレープジュースにお互い口をつける。
『じゃぁテストやな。』
「王さまの言うことは、絶対やな。」
『王さまゲームやん。』
1つずつ出てくるお互いのテストを見ながら、携帯の計算機で足していく。足していくなかで、優史の古典が40点だったことに安心した。
俺は、549点。
互いの携帯を閉じ、交換する。
ドキドキしながら、そっと携帯を開いた。
557
負けた。8点の大きな差は、やっぱ地理の32点みたいだった。
『ぅおっしゃー。なににしよっかなぁ。』&ニッコリ
「なんやねん。はよせぇやぁ。」
『じゃぁ今から一個質問するから、正直に答えてな。』
「なんや、そんなんでええんかよぉ。なんかしろとかやないんや。」
『一番、、誰が好き?誰と付き合いたい?』
正直青ざめた。