中学卒業後。
俺は退屈な毎日を送っていた。
クラスの奴らが嫌いなわけじゃない。
でもツマラナイ。
中学時代。
俺には親友がいた。
ユウキ…。
いつも一緒。
一緒に泣いたり笑ったり。
俺がゲイだと言っても引かなかった。
笑って『ンなこと関係ねぇだろ』と言ってくれた。
夏休み。
ユウキから電話がきた。
「久しぶり。どしたの?」
『久しぶりに声聞きたくなってさ。元気?』
「元気だよ」
『よかった。あのさ明日遊ばね?』
「いいよ!」
『じゃあ、いつもと同じで』
「ぁ…うん!」
『じゃあ…また明日』
「ぅん。また明日」
久しぶりに聞いた声。
久しぶりに聞いた『いつもと同じ』。
公園に1時。
それが『いつもと同じ』場所と時間。
次の日。
お気に入りの服。
普段は使わない整髪料。
普段は使わない香水。
普段は付けないアクセサリー。
弟の俺が言うのもアレだが、イケメンでオシャレな兄貴がやってくれたんだから、なかなかイケてるんじゃないだろうか。
30分前に着いた。
なのに5分後にユウキは来た。
「久しぶり、早いね」
「ひ、久しぶり」
ドキドキした。
「どこに行く?」
「決まってないの?」
「ユウタと一緒にいれりゃどこでも」
その笑みは反則。
そんなの…自分の気持ちに気付いちゃう。
「俺も…ユウキと一緒にいれればイイ」
「ユウタ、俺って言うようになったんだぁ。髪もワックスでちゃんと…。ぁ!このアクセとかスゲェ高いやつじゃん!ぁと…香水?」
「ぅ…ぅん。兄貴にやってもらったんだ」
「そかぁ…。ユウタもオシャレさんになったんだねぇ」
「ありがと。ユウキも…大人っぽくなった」
自分んで言って恥ずかしい。
「ぁ…ありがと」
お互い恥ずかしくて笑うしかなかった。