ちょっとたって女子に「最近高橋先輩と話したりしてないね?どうしたの?」って聞かれたけど。「先輩は特進クラスだから忙しいっていうか俺なんかにかまってる時間ないんだよw」って流してた。
ただ俺は違和感がぬぐいきれなかった、先輩がいなくなった瞬間から。何か足りないって、先輩のあの笑顔がみたいって夜思うようになったりもした。
学校はじまってから1ヶ月、俺は久々に一樹先輩を見た、先輩がクラスの女らしき人にあのスマイルを向けてた。
俺はなんかすごいムカムカした気分になって自分が本当に嫌になった。なんか俺だけに向けられてたっていったらウソになるけど。なんなんだ?この気持ち。
でもこれでちょっと前に進まなきゃとも思えた。
「先輩ときちんと話しなきゃいけねぇな。」って・・・・。
ちょうど同じ頃だった。彼からメールがきたのは。
「樹、ちょっと話せねぇかな?ガオカに7時待ち合わせで・・・・。」
「7時に、が丘で待ち合わせで」
そう言ったのは。優だった・・・。
優は本当に人の事をよく見てる、優は自分からは言わないけど。中学の時は相当やんちゃをしてて喧嘩とかもすごい強いらしい。でもそういう雰囲気は出してた、人をまとめる力。行動力、こいつはそうとうみんなから慕われてたんではないか?って思うとこある。
7時・・・。自由が丘駅のいつもの待ち合わせ場所で待っていると。
「よう」
優の顔はいつもと変わらず普通だったが、目はそんな事言ってなかった。
お前何があった?っていう目をしてた。
「よー!お疲れ!とりあえずエクセル行くか」
俺と優は自由が丘にきたらエクセルシオールに行くっていうなぜか暗黙の了解みたいなのがいつの間にか出来てて。必ず話すときはそこで話してた。
まぁ元々優はマックが嫌いなので優がいるときは100%マックはないけど(汗)
優「んで?高橋先輩と何があった?」
俺は第一声がそれでビックリした。なんでわかんだろ?って。俺はうまく隠せてる自信があった。
樹「何?別に何もないよ?」
優「お前は気づいてないかもしれないけど、なんか顔とか見てればわかる。高橋先輩の話になると樹は目おもいっきり見開いてるぜ?コワイみたいな目して。みんなはうまくだませても俺はだまされねぇよw」
そこで優は笑ってた。
俺は迷った。。。優に言うべきなのか、でも言ったら優は俺とは一緒にいてくれなくなるんじゃないか?俺はしばらく考えてた・・・・。
何分考えてたんだろう。優が一言。
優「高橋先輩ってお前の事恋愛感情で好きなんじゃねぇか?って思うんだけど。違う?その事じゃね?」
俺はただただビックリだった。それは顔にはださず、普通に。
樹「なんで?一樹先輩は男だぜ?ありえねぇだろ。」
優「俺にはそう見えるんだけどな・・・・。お前見てる時の顔見てればだいたいわかる。俺に隠さなくていいから、まだ一緒にいるようになって半年くらいかもしれない、けど樹は俺の大事なダチだから。もうお前が辛いって言う顔見るのうんざり。」
樹「辛くないよ?俺はこの通り元気一杯です!!!」俺は絶対ばれたくなかった、優に見透かされてるってわかっても嫌だった。
優「樹?なら言うけど、こないだお前高橋先輩が他の女といたの見てたろ?その時のお前の顔やばかったぞ?もう顔が死んでた。ここ最近だってそう。寝てないだろ?疲れがにじみ出てる」
その瞬間俺の中で何かが切れた・・・。その瞬間、何かわからない涙が出てきたんだ・・・・。一樹先輩と楽しく過ごしてきた日々が思い出せた・・・。
男二人で場違いなデザート食い放題のお店にいって「うまい」って笑ってる先輩や、俺が試合で活躍したとき「よくやったな!」って笑ってくれた先輩。あの人の笑顔だけ思い出す。なんて暖かいんだろう・・・、あの人の笑顔は。何度辛い時そばにいてくれたんだろう、9組メンバーとは違うまた違った安心感。これってなんなん だろう。俺はそんな事思ってた・・・・。
樹「優・・・。実は。。。」
俺はこいつになら話ていいと思った。一樹先輩に好きって言われた事、俺は鳥肌がたってキモチワルイっていったこと。何もかも全部話した。
優「そうか・・・。お前それはたぶんビックリしたからじゃないのか?よく考えてみろよ。まぁ、高橋先輩も男って事だなwこのままモヤモヤしたままは嫌だろうからお互い話合えよ。早い方がいいな。」
って笑いながら優は言う。
樹「なんで笑ってるの?俺は・・・。」本当真剣に悩んでるのになんで笑うんだよって気持ち。
優「わりぃわりぃ。ただお前見た目によらず無自覚なんだなって思って」
俺は無自覚なんじゃそりゃ?と思いながら。そのあと終電まで優と話した。
次の日部活が休みの日。
学校ではみんながいつものように振舞う。文化祭のシーズンが到来し、うちのクラスは何やるだのあーだのと話していた。
その中俺は先輩にメールを入れたんだ。
「一樹先輩、話したいことがあります。18時にグランドにきてください」
しばらくして、メールがきた。
「わかった。」
メールの返事から約束の時間までは本当にあっという間だったような気がする。
もう夏が終わり、あたりは暗い。今日は他の部活も休みのようだった。
サッカー部専用グラウンドには人影も何もない、ただただ暗い空間だった。俺は何をどう伝えていいかいまだに結論がつかずに、モタモタしてたその時だった。
一樹「こんなとこに呼び出してなんだ?俺を殴りてぇか?殴りたかったら殴れ。お前の好きなぶんだけ」
まるで俺を突き放すような言い方、その目は俺をとても威嚇し、睨みつけてた。だけど悲しみもにじみ出ていた。
樹「先輩。俺はもう逃げちゃいけねぇんだって思ったんです。一樹先輩に夏休みにされた事、それから部活も逃げ出した事。俺は自分なりに色々考えました。ハッキリいってこのまま一樹先輩とは関われずに学校生活を送る事ができます。だけどそれじゃいけないと思ったんです。」
先輩は何も言わず、さっきの目を全く変えずに俺を睨む。
樹「俺は先輩を傷つけていたんですか?告白する前からずっと。俺の事を好きって言ってくれた先輩はホンキなんですよね?冗談とかじゃなくて。俺を恋愛対象としてみてるって事ですよね?俺はこの前まではキモチワルイとかそういう風に思ってました。ホモだなんてキモイと俺自身は思うからです。だけど、俺はそれ以上に先輩 と離れて気づいた事があるんです。」
自然に言葉がでてくる。先輩はこの間何も言わずに俺の話を聞いてた。
樹「俺が気づいた事、それは俺には先輩が必要だって事です。先輩の笑顔が見たいって事です。俺は先輩と一緒に高校生活っていうフィールドを走りたいって思った。好きとかそういうのはまだわからないです、だけど先輩が俺の目の前からいなくなる事が嫌なんです。」
俺は自分で想像した以上にスラスラ言葉言えてビックリ。ただ先輩とまた歩き、先輩の太陽スマイルを見たい。そう思った。
長い長い沈黙。。。それをやぶったのは一樹先輩でした。
一樹「俺はもうお前とは歩きたくない。もうお前といると傷つくんだよ!」
先輩の心の叫びだった。
一樹「お前といると、全部が欲しくなる。お前の全部が。俺だってわかんねぇんだよ!こんな気持ち!わかんねぇんだよ・・・・。もうこれ以上傷つきたくねぇんだよ。もう聞きたくねぇ」
先輩は振り絞るような声だった。それを聞いて俺は本当に知らぬ間に傷つけたんだなって思う。
先輩が泣いてる。そう思ったら俺も涙が出てきた・・・・。俺はそこから先輩の元へと歩き出す。
今まで距離があった先輩との距離を一歩一歩短くしていった。
俺もこの時の心境はよく覚えていない。ただ俺は。先輩に抱きついてたんだ・・・。
樹「先輩。好きです。あと一回しか言いませんよ。俺先輩が好きです。今なんかわからないけど、先輩に好きって言いたい・・・・。お願いだから笑顔を見せて?先輩。」
その時好きってなんで言ったのかわからなかった。ただ、何も考えず出てきた言葉、俺は優の言葉を思い出してた…。
「お前って無自覚なんだな」って笑ってた優。
そうか、俺も先輩の事好きだったのか。知らぬ間に、男と恋愛する概念なんて全く存在しなかった俺。新しい概念が生まれる
一樹「何してんだよ、離せ。」冷たい冷たい声でいい放つ
樹「離しません。先輩が好きなんです、、」
俺は泣いてる。
いきなり先輩は俺を泣きながら抱きしめてきた。
一樹「樹、樹・・・・。愛してる、愛してる。」
先輩は俺を見ながら笑顔だった。泣き笑顔。その笑顔は今まで見たことがないくらい明るい、綺麗な笑顔だった。
樹「もうイケメンの顔がグチョグチョですよ?」俺が涙をぬぐおうとした瞬間
キス・・・・。それも大人の。。。お互いがお互いを求めた初めてのキス。優しい優しいキスだった、先輩のかっこいい顔が目の前にあって、ドキってした。
俺はこのキスで全く気持ちが悪いなんて思わなかった、むしろ気持ちよすぎてすべてが溶けちゃうんじゃないかって思ってた。
自然に声がでる「ん・・・・・。うぅん・・・・」
しばらくすると先輩は俺の体を離しこういう。
一樹「本当にいいんだよな?俺夢じゃないんだよな?」と。
それは本当に笑顔で、俺に向けられた笑顔で・・・・。本当に嬉しかった。。。
これが俺樹がノンケではなくバイになった理由。
先輩はただただ嬉しそうだった。。。
先輩はふと真剣な顔になる。
一樹「五十嵐樹、俺はお前が好きだ。お前が辛い時、悲しい時、楽しい時全部近くで見てたい。樹の目を見てたい。これから俺についてきてくれませんか?」
と差し出された先輩の大きな手、なんてこの人はかっこいいんだって思った。今まで女にされてきた告白のどれよりもドキドキした。こんなの女が言われたらイチコロ…。
樹「先輩と歩いていきたい。その気持ちに嘘はありません。」
差し出された手を握りしめ、抱きしめられる。
お互い笑顔だった…。暗い空間なのにあなたの笑顔を見ると、一点が明るくなるんだ。まるで優しく光る太陽みたいに…