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あなたの全てが好きでした。24
 のぶ  - 08/10/20(月) 1:06 -
高3の10月、3年間の長かったような短かったような生活ももう終盤


今のオレは別に最近悩みなんかない…と思う

うん、ない

強いて言うなら受験がキツイことかな

あとはなんもない。ただ学校行って、みんなと勉強して、みんなと笑ってくだらない話して、学校から帰って予備校

そこでまた友達と一緒に未来に向かって語りあいながら、笑いあいながら頑張る

なんの変哲もない、ただただ平和で幸せな生活

でもわかんない、突然どうしよもなく辛くなる時がある

いきなり胸に突風かなんかがふいてて、全部を吹き飛ばすみたいに


今まで悩んで、割り切ってすんだはずのたことが急に火を噴く

これ、なに?


ホントはやめたくなかった

ホントは離したくなかった

「結果オーライ!今楽しいからいいんだ」


なんてただのごまかしだった


結局、隠して隠して奥深くおしこんだものは消えずにある日反発して弾け飛んで、後悔になって戻ってくるんだろうね


自分のホントの願いは消えずにフラストレーションに変わってたまってくだけ


あんとき、自分に隠さずに恥を覚悟して動いたらなにか変わってたのかもしれない


結局、自分が歩いてきた道のりは長いのに

振り返ればいろいろ転がってて

顔をあげて着いた場所みたら理想からは程遠くて

欲しいもの、大切なものたくさん落としてめちゃめちゃにしてきて


傷つけて、それみながら一緒に自分も傷ついてた

大事なもの壊した小さい子みたいに…

もう駄々こねても、自分のせいだからだれも買いなおしてくれない


自分の腕に大事にかかえないで落として
あまりにも失うべきじゃないものを、失ってきた


ホントだめだな


なのに「後悔する」っていういらないものだけずっとにぎりしめて

捨てずに、ずっと眺めてる

それはなにも自分に与えてくれないのに


さっさと捨てればいいのに


でもそしたら、大切なものの存在も一緒に捨ててしまって、忘れてしまいそうだから

今は後悔しか、大切なものが確かに一緒にあったってことを証明してくれないから

大切なものを忘れたくないから


もう自分のものじゃなくても、想っていたいから


せめて満ち足りてたときの幸せな想い出だけでも糧にしてたいから


そう思ってまた「後悔」だけが貯まってて
もう棚がいっぱいだよ


これ全部どうすればいい?


ちゃんと想いだせるから、交換してよ

オレの大切なものと

なんで、あんとき手から滑り落ちたんだろ


わからない


リセットしたい

やり直したい

全部最初からにしたいよ

そしたら棚のものも全部消えるよね

きっと次の人生はうまくやるから

ちゃんと大切にするからさ

そしたらこの棚も使わなくてすむね

リセットボタンがほしい


けど、そんなの無理だよね

わかってる


ただの、子供の幼稚な発想だって
弱いやつの発想だって

人生にリセットはきかない

いや、あってもそれはやり直しのリセットじゃなくて

終わりのリセットだから

全ての終わりを意味するから

生きてくってやり直しのできない積木のようなものだから


積木みたいに組み立ててくものだから


土台を立て直すなんて、一度上に次をのせたらもうできないから


それでも、今はいびつでも理想の形に近づけていきたい、オレは


でも、もうその設計図もどっかいっちゃった


なに作ろうとしたっけ

わかんないや

もう、壊しちゃうのが怖いからなにもいらない

そう思って、静かに過ごしてきたのに

辛くなる

これが悩み、でももうどうしようもない昔の悩み

自分に正直にいきなかった人の結果

大切なものを大事にしなかった罰

それでも

ホントに大切なもので、ホントに幸せだった


だからこれはずっともっておく

いつか交換してもらえるときまで


取り返せる日まで

うまく組み立てられるまで

それまでリセットボタンを押すのは我慢する


いつか胸はって自分にとって大切なものだって叫びたいから

大事にしたいから

---------------------

オレは嶺と仲直りした。でも、その時に全部もう始まってたんだね

もしかしたら、もっと前から始まってたのかな?

あの時も今もわかんない

でも確実にオレが歯車を狂わせ始めてた


オレが嶺と仲直りした日、気まずいなりにも嶺とまた前みたいに学校いけたのが凄い幸せだった。また、前みたいに嶺が近くにいたら悩むこともあるかもしれない。でも、そんなことは我慢する。嶺と一緒にいれる。ただそれだけでオレは満足だ。オレはそう思ってた。

クラスでも部活でもオレははっちゃけた。誰の目からみても弾けてたと思う。それくらいに嶺との喧嘩はオレの胸に突っ掛かってたし、そのつっかえがとれてハッピーだったんだ。

部活の帰り道。久しぶりに嶺と帰る。緊張もあるけど、嬉しい。やっぱ2週間も話してなくて、始めお互いにどう話せばいいかわかんなくて沈黙がち。でも、それでも嬉しい。
気まずいけど、でも初めて帰るようになりはじめた時みたいで新鮮とも言えるような雰囲気のまま、電車はもうすぐオレの降りる駅に着く。

その時だった。嶺が唐突にその話題をふってきたのは

嶺「バレンタインどうだったー?」

オレ「んー?結構もらったよ☆全部どうせ義理だけど(´ω`)でも、三原からも郡司からも貰ったんだよー」

嶺「お前そういうキャラっぽいもんな笑」

オレ「まぁね…微妙だけど。嶺は?お前どうせ本命貰ったんだろ?笑」

オレは軽い気持ちで聞いてみた。確かに嶺なら貰っててもおかしくない。

嶺「そんなのねーよ」

嶺は否定した。

オレ「また、またぁ〜いいよな!モテるやつは!!」

嶺「モテねぇから!」


嶺は笑いながら否定してた。今日の最後の最後でこうして嶺と前みたいに笑いあって話せたことにオレは安堵した。
『あーいい日だったな』そう思って一日が終わると思った。

けど…

電車がオレの降りる駅に差し掛かり始めた。
その時嶺の顔からいきなり笑顔が消えて真剣な顔になって、どこか言いづらそう…

嶺「あのさー、オレ付き合うことになったんだ。」

『え?今なんて言った』急な話の展開にオレはついてけなかった。けどとっさには聞けた。

オレ「誰と?」

もう電車はホームに止まる。

嶺「三原…」

『え…?』オレは唐突すぎてわからなかった。もう降りなきゃいけない。

オレ「そっか。じゃ!また明日」

とりあえずそれだけ答えた。

嶺「おう!」

嶺も何もなかったようにバイバイした。
電車を降りて、歩く…。オレは今嶺に言われたことを思い返した。

『嶺が三原と付き合ってた…?いつから?なんで?どうやって?』

一人で歩きながら帰路についてると、時間がたつにつれいろいろな疑問がわいてきた。

わからない。わからない。

三原はオレと話してた。メールしてた。電話もしてた。なにより、この2週間オレの嶺の話で相談にのってくれてた。

その三原が…なんで?
なんでオレは気付かなかった?
なんで、三原はオレに言ってくれなかった?…いや、喧嘩してたから言えないか。でも、どっちから?嶺には好きなやつがいたんじゃないのか?
考えれば考えるほど疑問がわいた。
どこか寂しい気持ちも込み上げてきた…

『嶺付き合うんだ…』

でも、友達なんだから受け入れないといけない。『わかってる。こんなことはとっくに覚悟してたんだ。それでも嶺の側にいたい、だから仲直りしようって決めたじゃん』

けれど、『なんで?』っていう気持ちは先行する。どこか、三原に裏切られたようにも勝手に感じてしまう自分。

自分に彼氏ができたことを言ってくれなかった、「友達」としての三原の裏切り。
オレが好きな嶺をとってしまった、「恋敵」としての三原の裏切り。

ゲイだからこそ感じてしまう、感覚なのかな?

けれど『三原は裏切ってない。三原にはその権利がある。三原はなにも自分に悪いことはしてない。』理性ではわかってた。

恋愛対象として好きな嶺をとられるのが寂しいのか、最高の友達である親友の嶺をとられるのが寂しいのか、女友達として1番仲がいい三原が付き合ってしまうのが寂しいのか、女としての三原が自分を選ばなかったのが寂しいのか…あんなに話して、メールして、電話してた三原が自分に言ってくれなかったことが寂しいのか…

オレにはもうなにが寂しいのかゴチャゴチャしてわからなかった

けれど、受け入れなければいけない。

何があっても、三原と嶺はどちらもオレの親友なんだから。

笑って「よかったね」って言わなきゃいけない。

オレは少しづつ自分で自分のドロドロとした汚い気持ちを消化していった。

そして嶺にメールした。友達として祝福するために。そして、友達として許される範囲で聞きたいことを聞くために…


「降りる時だったからあんま話せなかったね 汗
三原と付き合ってんだ??!よかったね(^ω^)いつから?全然知らなかったよ!!」

メールを送信した。精一杯自分で自制して、嶺にとって親友の自分をきちんと演じた。
『親友として許されない自分は全て胸にしまおう。嶺から何を聞かされても受け入れよう。』そう思った。親友のポジションだけは失いたくないから…


そして嶺からの返信。

「明日話すよ。相談したいこともあるし…」


え…?相談したいこと?なに??
ますます、わからない…
オレには見当もつかなかった。けれど、嶺が自分にまた相談することがチョット嬉しかった。

でも、今考えたとこで何もわからないし、何もかわらない。

オレのすべきこと…

『全てを受け入れよう。嶺が付き合うってきめたなら受け入れる。嶺が相談したいことあるなら全部聞く。そんで、嶺を精一杯助ける。ただそれだけのこと。オレは嶺の親友。それ以上でもそれ以下でもない。それ以上なにも望まない。』

オレはそう自分に言い聞かせて、『あってはならない』オレの胸でのたうちまわってる思いを全て胸の奥深くに沈めながら眠りについた。


引用なし

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あなたの全てが好きでした。21 のぶ 08/10/18(土) 1:18
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