続き
だんだんと夏になっていく。
俺らの夏は地区大会で終わった
みんなみんなみんな泣いた…
みんな抱き合って三年間の思い出が…辛かった事嬉しかった事…
みんなで乗り越えてきた。
俺も裕也も顔をグシャグシャにしながら泣いた。
「三年間楽しかったな」
最後の試合の後、夕暮れの帰り道でまだ目が赤い裕也が寂しそうに言った。
「そうだな…」
「俺、野球やってて良かった」
「俺もだよ」
帰り道…
夕暮れ…
裕也の横顔…
俺は好きって言いたかった
裕也が好きで好きでめっちゃ好きだって……
「俺さ………」
裕也が真顔で俺に言う…
「な、なに?」
俺はいつになく真剣な裕也の顔に動揺した
さっきの気持ちはどこかに消えていた。それよりも嫌な予感が頭を巡る…
「俺さ、引っ越すんだ…」
「……………………?」
理解するのに時間がかかった。
なんでこの時期に?
なんでなんでなんでなんで?
「…………なんで?」
「親が離婚すんだってよ」
確かに裕也の家庭にいろいろあるのは知っていた。だけどタイミングってのがあるだろ…
親の都合で………
「卒業するまではいたかったんだけどな…」
俺はさっきボロくそ泣いたってのに涙が零れる…
言葉が出ない……
「泣くなよ…」
そう言って俺の頭を優しく撫でる。
「俺…裕也が」
俺は泣きながらそれでも
「す………きだよ」
夕暮れがだんだんと暗くなりはじめる…
まだ蝉も頑張って鳴いてる
少し生温いけど心地良い風が吹く
「ありがとう…」
そう言ったまま裕也は俺を優しくそしてギュッて抱きしめてくれた。
……………………
裕也は泣いていた…
俺にバレないように。でも小刻みに震える裕也の体。
俺は力強く抱きしめた
「俺も雄介と離れたくねぇや」
それがどんな意味かは解らなかったが俺は嬉しかった。
しばらくして俺らはそれぞれの家路に帰った。