応援のメッセージ、感想、ありがとうございます。嬉しかったです。
こんなダラダラとした文なのに読んで頂いて恐縮です。
ホントに遅くなりました。
続きです。
「なあ、歌ってよ」
と、マサキは無邪気に催促してきましたが、僕は歌どころじゃありませんでした。
「やだよ」
熱い身体を冷ますのに、もう一度、今度は冷たいシャワーを浴びたい気分でした。
「なんだよ。ケイトは歌が好きだろ? ケイトはマサキの家に遊びに行って、一緒に歌を歌いましたってあったじゃんか」
「それは、英語の教科書だよ」
英語の教科書の例文にケイトと言う名の女の子が出て来るとマサキは喜びました。
「マイクとかナンシーとか言われてもさ、全然イメージ湧かないんだよなぁ。ケイトは実際にいるからイメージしやすくていいよ。例文、全部ケイトにしてくれればいいのにな」
マサキは例文にケイトが登場する度に、いちいち僕に報告してきました。
僕はその度にげんなりです。
「ケイトはリンゴが好きだって」
「ケイトはいつか日本に行きたいらしいぞ」
とか、同じ教科書なんだから知ってるよとツッコミながら聴いていました。
そして3年になって、マサキいわく奇跡が起りました。
例文に、マサアキという名前の日本から来た男の子が登場したんです。
マサアキはサッカーが得意な少年で、英語にするとマサキよりaが1つ多いだけです。
マサキはもちろんマサキだと勘違いして喜びました。
しかも、ケイトがマサアキの家に遊びに行くという例文も出てきたんです。
マサキは喜んで僕に報告にきました。
そこで僕はきちんとaが1つ多い事実を指摘してあげました。
マサキは残念がるかと思いましたが、なかなかたくましく、そのあとマサアキのaを全部修正液で消してマサキにしてました。
油断していた僕の教科書も、いつの間にか同じように消されていました。
マサキは知らん顔してましたけど「他に誰がやるっていうんだよ」と叱りました。
「ケイ、歌ってよ」
マサキはまた子供みたいに口を尖らせます。
「ダーメ」
「いいじゃん、ケチだな」
「ケチじゃないよ。言いがかりはよせよ」
「いいやケイは、けちんぼだ。あ、透けチンポだっけ?」
マサキは自分で言っておいて、その下ネタに「くっくっくっ」と笑います。
「最低だな‥」
絶対、さっき洗面所で見た僕のを思い出して笑っているに違いありません。
僕は、ケラケラ笑いはじめたマサキにサッカーボールを投げつけました。
マサキは見事なヘディングでそのボールを打ち返してきて、僕はキャッチングに失敗して鼻を打ちました。
「ふっふっふっ‥俺にサッカーボールを投げるとは愚かな。知ってるか? こういうの、猫に鰹節って言うんだぞ。俺にサッカーボールと言ってもいいな。ケイにはサクランボだ」
知ってるも何も、今日の授業で先生が言っていたじゃないかと思いました。
マサキは初めて聞いた言葉をすぐに使いたがります。
それもちょくちょく使い方を間違えます。
今回も、好物を近くに置いておくと、油断がならなくて危ないって意味からすると、やっぱり少し使い方間違っているような気がしました。
「あれ? マサキには下ネタじゃなかったっけ?」
僕は鼻を押さえながらマサキを見上げました。
「そうとも言う」
イスに片足載せて胸を張って笑うマサキのトランクスの隙間が目に飛び込んできて、僕は見ないようにしようと思っても、つい覗き見てしまいました。
隙間からはマサキのツルンとした玉がちらりと見えています。
僕はイケナイことをしている気分でドキドキしました。