チェリー5でマサキの身長ですが、文字化けしちゃいました。
本人は161センチだと言い張りますが、間違いなく中三の4月のマサキは160.4センチでした。
もう少しでエッチな展開になりますのですみません。
マサキもずっとテンションが高いままでしゃべり続けていました。
ただ一つ、僕の失敗はマサキに傘を持たせたことでした。
マサキは話すのに夢中になってくると、傘を持つ手が揺れて全く役にたちません。
帰り道を半分まで来た頃には、二人共全身ずぶ濡れです。
シャツが肌に貼り付いて気持ちワルくて仕方ありませんでした。
おまけに時々すれ違う人に、じろじろ見られます。
そりゃ傘差してるのに、ずぶ濡れの人を見たらじろじろ見たくもなりますよ。なんのための傘なんだと。
「すれ違う人の視線がイタい」と僕がこぼすと、マサキは困ったような顔して嘆息を吐きました。
「ケイってさ、少し自覚が足りないよね」
「はあ? どういうこと?」
「ケイはさ、人の目を惹きつけるような男だってことだよ」
と、そこでマサキは僕を見て大声を上げました。
「ああ!」
僕はびっくりしてマサキを凝視します。
「なに??」
「お前! 乳首、透けてるじゃんか! バカ! そんなの人に見せるなよ!」
とマサキは怒鳴ります。
そんなの怒鳴ることか?と思いました。
バカってなんだよと。
誰のせいでそうなったんだとマサキを見ると、マサキだって濡れたシャツが肌に貼り付いて乳首が透けて見えてます。
「マサキだって透けてるじゃん!」
と僕は腹が立ったのも忘れて、思わず吹き出してしまいました。
「俺のことはいいんだよ。ちゃんとそれ、隠せよ!」
マサキは指を指しながらも目が泳いでいます。
僕はマサキがうるさいので、面倒くさいなと思いながら言われた通りシャツを肌から引きはがして透けないようにしました。
「だいたいケイはさ、自覚なさすぎなんだよ」
とまた困ったような顔をします。
「ケイは自分のこと、過小評価しすぎ」
「うわ、マサキが難しい言葉遣った」
「茶化さない!」
マサキが僕のほうをじっと見つめるから、僕も見つめ返しました。
マサキの真剣な眼差しに思わず見とれてドキドキしてしまいます。
真面目な顔した時のマサキは文句のつけようがありません。
僕が内心動揺していると、マサキの方が先に視線を逸らしてくれたので、ほっとしました。
マサキは困ったような真剣な顔をして真っ直ぐ前を見ています。
「ケイはさ、なんだか最近色気が出てきた」
とマサキがまた変なことを言うので、僕は拍子抜けしてしまいました。
「はい?」
「マジでさ。もともとケイは綺麗だけど、そこに色気が加わったように思う」
「なんか全く嬉しくないんだけど、なんでかな?」
僕は綺麗な顔だと言われることが前から時々あって、でもそれはケイトって呼ばれるのと同じように好きじゃありませんでした。
「なんでだよ? 褒めてるんだぜ? ケイはまだ自分の魅力に気付いてないんだよ。色っぽいよケイは。セクシーだ。特に今日のケイは色っぽい。雨だからかな? 雨の日のケイは色っぽい」
僕はなんだか言われれば言われるほど、こそばゆく、恥ずかしくなっていきました。
それと同時に笑いがこみ上げてきて、セクシーと言われた時には吹き出しそうになりましたが、マサキが真面目な顔で話しているので堪えました。
不思議なことに色っぽいと言われることに意外にも嫌悪感は湧きませんでした。
マサキは口をつぐんで、遠くを見ていました。
僕が横顔を見つめても、すっと前だけを見て黙って歩いていました。
僕もマサキと同じように前だけ見て、黙って歩くことにしました。
しばらくの間、二人で黙々と雨の中を歩きました。
しばらくして、マサキがぽつりと言いました。
「俺、変かな?」
「うん。いつもでしょ?」
僕は迷わず答えます。
マサキは困ったようなほっとしたような顔で「だよなー」と笑って言いました。
「って、おいっ!」
マサキは僕の肩を軽く叩きます。
二人で顔を見合って笑いました。
それからはまた、果てしなく続いていくような、楽しいお喋りをしながらマサキの家まで歩きました。