「オレさぁー戒のこと好きかもー。」
中2の夏の練習後の帰り道、小学校から仲良かった孝博に言われた。
なんか言われて嬉しかったのもあるけど相当焦った。孝博は結構もてた。身長も若干俺よりも高く158。まぁそんな変わんない。こいつもバスケ部でオレと同じで中1の途中からレギュラーだ。ただ大きな違いはよくしゃべるということくらい。あとは、こいつがアホなくらいか。孝博は明るく誰にでも優しいけど感情の起伏が激しすぎる。すぐ泣くしすぐおこる。でも立ち直りは人一倍早かった
オレはというとまぁそこそこもてたのかなくらいで身長は155。口数は多い方ではない。よく言われるのはクールだとか冷めてるだとか。それなのになぜ孝博はオレに告白したのか?このころは疑問で仕方なかった。まぁ今でも疑問だが…
戒「なんで?」
とりあえず疑問をぶつけた
孝博「好きなのに理由はいらん!」
くだらない
戒「あほか。からかうな」
オレがそういった瞬間、孝博は走った。そして見えなくなった。ちょっと泣いてた気がした。すぐ追いかけてれば絶対追いつく自信はあった。孝博よりオレの方が速い。自信もあったはず。しかし足が動かなかった。いつも2人で帰るはずの長い土手の道。距離はそこそこあったがいつだって孝博が半永久的に話してるから長くは感じなかった。しかし今は長い。歩いても歩いても帰れない気がする。
戒「ただいまー」
もちろん。誰もいない。親は共働きで海外だか国内だか知らんが出張中。弟は二年前に死んだ。オレがミニバスの引退試合の日に。この時孝博号泣してた思い出がある。オレはというと自分の部屋で少し泣いた。予めわかっていた。近いうちに死ぬことくらい。でも泣いた。押さえつけられなかった。
戒「また思い出したよ…。また寝れない…か。」
携帯をみる。
着信あり。5件
………
誰だよ。また母さんか?もしそうだったら今はまだ日本にいるってことか…。
三浦浩志
三浦浩志
三浦浩志
三浦浩志
三浦浩志
はぁ。浩志か。少し期待した自分がアホだった。もしかしたら……まぁそんなことないか。
とりあえずかけ直してみる
………ガチャ
浩志「もひもひ?」
戒「なんだよ?」
浩志「あのはぁ〜あひた暇?」
こいつ食いながら電話してんな。
戒「ひまじゃないよ」
浩志「なんかあん?」
おっ食い終わった
戒「別に。関係ない」
浩志「でたよでた。戒の関係ない!暇だから明日戒んち行くから☆」
戒「ひまじゃないから!」
ガチャ
こいつと話してたら夜が明ける。とりあえず風呂入って寝るか。
………
A.M.3時
…寝れない。弟のことを思い出すとその日は寝れない。
はぁ…