「松本先生、ちょっといいですか?」
舜一と、彰吾は、笑顔で理科準備室の戸口から、顔を覗かせた。爽やかで、邪気のないその顔。
「ん?川上と、北村か。どうしたんだ」
「えっと……理科のワークブックで解らない問題があって。教えてもらえませんかぁ」
さっきまで、嗅いでいた下着の持ち主の二人にこんな風に言われて、松本先生がノーと言うはずがない。俺と彰吾が、理科室に松本を連れ出すから、その間に先生は準備室に潜り込んでくださいよ。舜一は、そう言って僕を理科室の教卓の後ろに隠れさせた。
「早く、こっちでお願いします」
彰吾は、先生の手を引っ張った。先生は
「しょうがないなぁ、まったく」
と、頭をかきながら、隣の理科室に向かった。愚かなるかな、松本先生。小学生に欺かれるとは。先生が入った入れ違いで、僕は準備室に乗り込む。
呆気なく、ビキニは見つかった。先生が着ていた白衣が、椅子にかけてあったからだ。僕が右のポケットに手を入れると、淫液が固まりぱりぱりになった、それが出てきた。まだ、いやらしく何本か陰毛が絡まっていた。
舜一が、松本先生を誘き出す代わりに、僕に提示した条件は次のものだった。
「松本先生が、気付いてどんな顔するか見たいんですよ」
「頑張って搾りだしてきてくださいね、センセ」
それは、松本先生の机の上に、射精すること。おいおい、危険過ぎるだろっという僕の胸中だった。
僕は体操服のズボンを、膝までおろした。日焼けした伸びやかな二本の足の分岐点には、だらんと黒々としたものが垂れている。小学5年生の折から、覚えた自慰に鍛えられ、今や大人顔負けの雄々しさ、立派さをしている。
手にとってみる。そして、僕はこの木造の校舎に目を走らせ、自分の小学生時の淫靡な思い出を、ふと思い出した。
僕がまだ、自慰を始める前の小五の春に、ひとりの転校生がやってきた。韓国から親の都合で、数年前に日本に来た子だった。日本語は片言で、そのせいもあって恐らく12、13才なのにめ関わらず、小五のクラスに転入してきたのだ。クラスメイトの彼への対応は、よくなかった。背が高く、運動も得意で、精悍な顔立ちの年上の彼は、何かと男子の性的興味や欲望の発散場とされた。彼が油断しているときに、股間を後ろから握ったりするのは日常茶飯事で、彼もまだ日本に不慣れなせいもあったのか、いつもニコニコして、股間やお尻を揉まれていた。
それは、体育が終わったあとの着替えの時間に起こった。僕たちの学校では、男子は着替えを体育館のステージ上でした。暗幕が張りっぱなしで、暗いステージでいつも通り着替えていると、友達のひとりが僕をカーテンの中に引き入れた。
「見ろよ、凄いぜ」
僕は暗闇の中、目を凝らすとそこには5人くらい、男子が集まっていて、その中心にはあの韓国人の男の子が、腕を縄跳びで縛られ、万歳の格好にされていた。
「こ、これ、なに?」
「まあ、見てなって」
男の子は、既に素っ裸の状態で、それでもニコニコと笑っていた。踝のところまで、純白ブリーフがおろされていた。
「うわっ」
僕は思わず声をあげた。それもそのはず、彼の股間は、僕らのより一回り大きいだけじゃなく、陰毛が茂った、大人のものだったからだ。周りの友達も興奮状態で、すぐにそれを扱きだした。僕は、まだ自慰をしたことはなかったが友達の入れ知恵から、扱くことでどうなるかは知っていた。
最初はニコニコしていた男の子だが、直に顔が紅潮し、その快感に身を委ね始めたのだ。
「あっ、あっ、ん」
断続的に喘ぎ声が発せられ、腰も僅かに前後に揺れていた。体を捻らせても逃げられず、肉棒を弄ばれ、ついには完全になっていた。
男の子は、口を半開きにしたまま、喘ぎまくりだった。そして、しばらくすると
「あぁぁぁぁ〜!!」
腰を大きく前に突き出すと、発射した。その時の顔を今でも、思い出す。恍惚としながらも、何かに必死で抗う表情。射精しちゃいけない射精しちゃいけない、そう思いながらも、抵抗できず
「あぁぁぁぁ〜!!」
気付いたら、松本先生の机上に射精していた。思い出を使って、射精するとは器用なもんだ。
「先生、有難うございました」
「また、いつでも聞きにこいよ」
松本先生と、舜一たちの声が隣りの部屋から聞こえる。
僕の液は、相変わらず濃厚で、大量だ。キラキラと光を放つそれを一度近付いて眺めてから、僕はきびすを返して、準備室を抜け出した。