響く気合いの声
練習の間は常に後輩がレギュラー陣の背後から声を出す。
入学式も終わり、ここへ来て半年が過ぎようとしていた。
1年生は基本と筋トレに毎日明け暮れ、先輩の付き人になり身の回りの世話をする。
部屋の掃除から、道着の準備、組み手の前には先輩の防具の準備。もちろん、授業が終わったら一番に道場に入る。
道場に入って先輩たちのカバンを受けとり部室まで持っていくためだ。
道や廊下で一目先輩を見かけたら、先輩に聞こえる声で挨拶をする。どんなに遠くても(笑)
食堂でも寮でも学校でも風呂でも…
めまぐるしく進む毎日に1年生もこなれてきた頃、初めての遠征がやってきた。
やや遠い県の強豪校と三日間の練習試合をするのだ。
強豪といっても毎回必ずうちが勝ってた。
当日のバスの中、先輩たちが爆睡してる間 1年生は一睡もしてはいけなかった。五時間もの間。
鬼のような監督に誰が、いきなり呼び出されるか分からないからだ。もちろん先輩を起こすのがうちらの仕事である。
そんな中、何故だか入学しての半年、はやととは妙にというか かなり打ち解け同期の中でも一番仲が良かった。
バスの中でも隣、部屋は違えど風呂や食堂に行くのもクラスも違うのに学校にも一緒に行ってた。
目が大きくて、色黒で小柄だけど筋肉質で。意外にしっかりした所も有り、綺麗な顔立ちをしてた。
今、思えば…
遠征中は相手方の学校の寮に泊まった。部屋割りは各学年ごとに二部屋ずつだった。
もちろん、はやとと自分は同じ部屋になり一緒によしもいた。
この年代の子たちの夜なんて大抵、女がらみの話やエッチな話で盛り上がる。
はや「俺、こないだ彼女としたぜっ」
たい「はやっ!!まだ1ヶ月経ってないじゃん!」
よし「はっはぁ~ん?俺なんか付き合ってないけどしたぜ?」
はや・たい「はぁあ?(笑)」
よしが、冗談で言ってるのは二人とも分かってた。
まったく、モテないのがわかってたから。
はや「あー考えたら、シコリたくなってきた。」
たい「トイレ行ってね(笑)」
よし「ぐ~…ぎ~~」
たい「よしっ?寝た?」
はや「歯ぎしりとか、まぢありえん。」
たい「あははっ」
はや「たいは、もう童貞卒業した?」
たい「まだだよ。」
はや「早くした方がいいぞぉ。ぢゃぁ俺オナってくるわっ。」
たい「はいはい。もー寝よっ。」
当時、異性に全然興味のなかった僕は自分はどっちなのか決めてなかった。
はや「たい?…寝た?」
たい「…まぁだっ。」
たい「!!??」
たい「何やってんの!?」
はや「しっ~見ての通りです。」
はやとは僕の隣のベットでオナってた。
たい「よしが起きたらどうするの?トイレ行けっ!!」
はや「見たいくせに。」
たい「寝る。」
と、自分はすぐに寝返りをうってよしの方を向き毛布に包まった。しかし、気になって仕方がない。暗闇で形しか見えなかったが目の前で、はやとがオナってる…気にならないはずがない。