舜一、彰吾、拓哉、吉貴、徹、智紀。
校門の前の砂利道をゆっくりと、噛み締めるように、高まる欲望を封じるように、灰色の校舎に向かう。
しゅんいち、しょうご、たくや、よしき、とおる、とものり。六人の顔が、ぼんやりと、瞼の裏側に浮かびあがり、僕は思わず歩みを止めた。止めたのだ。
教室には、臨時の教師が来ていて、とても事務的に朝礼を済ませた。そして、同様に、僕にも移動教室とか自習課題について事務的に伝達した。僕は、教師に向き合いながら、昨日プールで味わったあの陰険で粘着な視線をまたもや感じた。決して、自惚れからくるものではない。その視線たちは、僕の股間を焦点にして絡まりあい、僕は穿いてきたビキニの中に収められているそれが、熱くなるのを感じた。
朝礼が終わり、一限目が始まるまでに少しの休憩がある。登校時から尿意を覚えていたので、階段の向こうのトイレに、早足で向かった。引き戸を開けると、見覚えた顔が、あった。あの六人だった。
「あ」
1人が素っ頓狂な声をあげて、僕を指差す。智紀。
「お早うございます、先生!」
舜一が、如何にも爽やかなふうに叫んだ。他のやつらもそれに習う。
僕は、無視して別のトイレへ向かおうとした。実際、早く用を足したかったのだが、こいつらがいてはそれもままならないだろう。
扉を開こうとした腕が、ぐっと捕まれた。
「先生、おしっこしにきたんでしょ。ね?」
「や、やめるんだ」
彼らは僕の肩をつかみ、笑いながら、並んだ便器の前まで連れて行った。
「ほら、すればいいじゃん。邪魔しないからさ」
彰吾がにやにや笑った。彼らは僕を中心に半円を描いて並んだ。どうするべきか、彼らの前で放尿しないのが一番良策なのだろうが、ここで我慢して、二限目が終わるまではキツすぎる。かと言って、
「あぁ、じゃあズボンを脱がしてあげますよ」
「え?」
止める間もなくズバッと、後ろからあの猥褻感漂う体操服が下ろされた。たちまち、広がる困惑と、歓喜。そう、今日もまた前述の通り、卑猥なビキニを身にまとっていたのだった。黄土色のそれは、サイドがストリングタイプで、蝶々結びをしてとめるタイプになっている。
「へぇ〜〜」
彼らは一端僕を便器から離すと、取り囲んで、しげしげと眺めた。
「先生って、いっつもこんなの穿いて、学校に通ってるんですか。やらしいな」
彼らはしゃがんで、その卑猥な下着の全容を目に焼き付けていた。これは、きっと今夜の自慰の時の、回想として使われるんだろうなと、僕は六人のつむじを上から眺めた。いやらしいビキニを身につけた実習生の巨根なんて、恰好の材料ではないか。このビキニと、昨日のプールでの淫事を頭に思いおこしながら、目を閉じ、大股を開いて、彼らはきっと。僕は、彼らが昇天する時の顔を勝手に想像して楽しんでいた。楽しんでいる場合ではないのだが。
「うっ」
吉貴が、たまらなくなったのか、僕の股間を荒々しく握った。
「また、大きくなってるね」
六人は目の前の高さにある僕の狂器を一瞥し、冷笑した。
「ほら、早く。一限始まっちゃいますよ。授業中にずっと我慢するつもりですか?」
体操服を無残にも上下脱がされ、今やビキニ一丁の姿で、便器の前に僕は立っている。しかも、よく見てほしい。ビキニの横から僕の肉棒は、引きずり出され、僅かに勃起しながら、舜一の親指人差し指中指に挟まれて、左右に振られていた。
「もう、もうやめてくれ」
「俺ら、先生がおしっこするのを手伝っているだけですよ」
「早く出してくださいよ、先生」
「じゃないと、授業中にびしゃぁって漏らしますよ、いいんですか?」
激しい尿意が、膀胱の下から湧き上がってくる。腹の上を、薄い汗が滴った。
「頼む、揺らさないでくれ」
必死に僕は、肉棒を持っている係の舜一に訴えた。肉棒を左右に振られる快感は、尿意を促すのに繋がっていたからだ。
「え?」
舜一が惚けた。
「これ揺らしたら、何でいけないんですか?」
「……」
「こんなに、勃起してますよ」
舜一はそういうと、もう息もつかぬ速さで、ぶんぶんと、その雁首を今度は縦に振った。
「やめろぉ!!」
「あ、皆。先生が、おしっこだすよ」
「あぁぁぁーー、ふ」
すかさず、舜一は肉棒を便器に目掛けた。びしゃぁと、まさにそんな感じで。淫らに、羞恥心とともに爆ぜた。
「あ、あ、あ!」
なんてことだ、射精するような気持ちよさだ。小刻みに震える胸と肩。崩れ落ちそうになる体を後ろの三人が支えた。ふと、下をみると僕からはまだ絶え間なく放尿されていて、それを舜一が指で完全に操作していた。六人は、この光景に爆笑しながら、興奮を抑えきれない様子だった。