曝された僕そのものは、真夏の光線を浴びて、眩いほどだった。爪には、必死に抵抗をした証として、ビート板の破片が、無残に挟まっている。露わになった肉棒は、堂々たる姿で、まるでひとつの彫刻作品のように、白無垢の水着を破かんばかりに赤黒く隆起し、ふてぶてしく横たわっていた。
「す、すげぇ」
上擦った声が、小さく洩れた。
「大人の、だ」
彼らは、満足感よりもむしろ、その間近で見る勃起の迫力に、ただ呆然としている。
「どうする?」
ひとりが、唾を飲み込みながら目配せした。彼らは、ぼんやりとしながら、僕を押さえつける力には抜かりがなかった。
「触ってみよう、ぜ?」
全員が、小刻みに震えるように頷いた。喉仏が、何度も、ごくんと下に下りる。ごくん。めらめらと燃ゆる、欲望の太陽。
あぁ、もうお終いだ。ここで、僕の肉棒は、六人に手淫されてしまう。玩具のように弄くり回され、白無垢の水着と同じように、白に染まらせられてしまうのか。そう嘆きつつ僕の身体は、心とは裏腹に、迫りくる快感に、薄く汗にまみれた体をよじらせながら悦んでいた。
響き渡る、笛の音。
「よぉし、皆。全員集合」
体育教師の、やる気のない呑気な声がその後に聞こえた。
「ちぇっ」
六人は、舌打ちをしたり、文句を言いながら、僕の体から一斉に離れた。彼らは、すぐさま立ち上がり、プールに颯爽と走ってゆく。
僕は、ただひとり、巨大化した股間を抱えて、ビート板の上に寝そべっていた。腕は脱力と快感で感覚が消え、肉棒は、びくんびくんと痙攣し、先端からは既に甘い汁を僅かに、吐き出しつつあった。
「Tく〜ん、早く」
また教師が呼ぶ。何も異変に気づいていない。ぼくは、額をべっとり濡らした汗を拭い、尻をはたくと、股間の前を軽く手で隠しながら、少年たちの後を走って追った。無様な、姿だった。
「よぉし、じゃあ。今日は、もう残り時間少ないから、平泳ぎの手本を先生が見せるから、お前らはよく見とけよ」
水の中に入り、ようやく落ち着いた。教師の泳ぎを見るために、丸くプールの中心に集った生徒の群れの後ろらへんに、さり気なく並んだ。
それにしても、小学生のプールというのは、浅い。浅すぎる。僕の腹くらいまでしかないのだから、正直泳ぐときも深く潜りすぎると危険なのだ。僕は、ばれないように水の中で、股間に手を伸ばし、まだ余韻を残した上向きの肉棒を、下向きに収納し直した。上向きは、その大きさを誇示するのに抜群だという認識を今まで欠いていた。先程も、下向きに入れていたら、裏返された時も、あそこまでの衝撃はなかった、と今更悔いる。
だが、もうこれで、僕には「勃起実習生」という仇名がついてもおかしくない。クラスでも支配権を持っていそうな彼らに、見られたのだ。さて、どうしよう。
そこで俯いていた顔をあげると、あの六人が、目の前に。目の前にいた。僕と並ぶほどの身長。立派な、胸板。そして、ぎらぎらと妖しくひかる、十二の眼。
「さっきは、触れなかったからな。続きです」
彼らは、微笑んで白い歯をみせながら、教師のから死角になるように丸く僕を囲んだ。他の生徒は、立場的にまだこの儀式に参加させて貰えない子らなのか、ちらちらと後ろを物欲しそうに振り返るだけだった。
六人は、性急だったが落ち着き払っていた。五人がかりで、僕を完全に暴れないように押さえつけると、リーダー格が無防備な、水中の僕の股間に手を伸ばした。
彼は、まるで自らの手淫の際のごとく、なれた手つきで、水着の上から、すっぽり下向きの肉棒を覆い、上下に弄った。
「くっ」
くすぐったくて甘い溜め息を漏らすと、八方から押さえつける子らの荒息が同時に首もとにかかった。
「本当に、大きいですねぇ」
彼は呆れたように、呟いた。僕は、改めて赤面する。直ぐに僕の肉棒は、先程の活気を取り戻し、芯がつき、巨大化した。
「ここ?」
彼は、そう言い、亀頭の先端を集中的に攻める。親指と人差し指を合わせて尖らせ、それで僕の小高い丘のてっぺんに、小さな円を描きながら。
「あっ、あ、くっ」
ごつんと、後ろで押さえていた子の額がぶつかってくる。彼らは、貪るような目つきで、のぞき込んでいたからだ。
もうすぐ、授業も終わりそうなことに気付いたリーダーは、ねちっこい作業をやめ、白無垢の水着を下に引っ張った。勢いよく、勃起したはちきれんばかりの肉棒が飛び出た。ふてぶてしい、雁首。解放された喜びを表現するように、堂々と反り返っている。六人が、食い入るように見入った。
「よし」
リーダーは、勿体ぶった。眉毛を、猥雑な感じに動かした。
「どれくらい保つかな」
棒が、しっかりと握られた。上下運動が始まる。最初はゆっくり。親指で裏筋をくりくりと擦りながら。最初はゆっくり、粘っこく。
「2分か、3分か」
徐々に勢いがついてきた。僕が、まるで先をせがむように腰を突き出すものだから、先端は水面から顔を出し、それがまたなんともいやらしかった。
「あ、あ。」
周囲に配慮しながら、声はなるべく押し殺した。だが、もはや僕の棒は息もつかぬ速さで扱かれていた。その音が、向こうで平泳ぎをしている先生まで聞こえたらどうしよう。リーダーを見たら、一心不乱に僕のに集中している。僕の先端は、行き場をなくし、透明な液を止めどなく吐き出し、昇天するのも、間もなくであった。
「あぁ、あ。もう、いきそう」
「早いなぁ、まあしょうがない」
彼らは顔を見合わせた。
「じゃあ、先生の。僕の手の中にどうぞ」
きりりと、肩と腕が強く締め上げられる。僕の唯一の自由な場所から、発射される。リーダーは、ラストスパートにかけて、睾丸を掴み、先端を優しく激しく摘んでいく。
「先生。カウントダウンを、宜しくお願いします」
「あぁ、5、4、3、2」
あぁ、なんてことだ。僕は、淫乱な愚か者だ。
「い、ふ、あぁぁ!」
あまりに大声を出したので、口をすぐ塞がれた。その内に、リーダーの手には、白濁液がまき散らされた。僕は、腰を大きくせり出していた。リーダーは、両手を広げ、源泉から吹き出す神水を掬うように、、こぼさぬようにした。
「うわぁ、まだまだ搾れそうだな」
彼は、意味深長にそう言い、目を輝かせた。僕は、というと久しぶりの射精だったので、体はがくがくと震え、余韻もいつもより長く残っていた。六人は、しばらく、液を吐き出す僕の棒をぼんやり眺めていた。
リーダーは、搾取した精液を、僕の顔に塗りたくった。それだけで、僕はまた声を漏らし、果てそうだった。というより、今度は放尿しそうだった。
「先生、凄かったよ」
間抜けなチャイムの音が鳴り始める。途端に、六人も元の無邪気な生徒の顔に戻り出す。無邪気とは、遥かなる地を目指した欲求なのだ。僕は、まだ空を向いたままの肉棒を、無理やり水着の中にまた、おさめた。