物と物の間が広い室内
必要なもの以外、置いてない室内
車椅子で生活する部屋
お茶を持ってくると言ったお前をソファーで待った
「いつから居たんですか?」
「ちょっと前だよ」
「嘘ですよね?」
「…何で?」
「だってコウスケさんがちょっとって言う時はたいてい三時間くらいだから」
「そうだったか?」
「そうですよ。ちょっと後で電話するって言われたらたいていそこから三時間はかかってましたから」
思い出したのかハハっと笑うお前
変わらない笑顔
良かったって言ったらお前は怒るか?
幸せなんだな
幸せに思えるようになったんだな
俺のいない場所で
やっと幸せを
見つけられたんだな…
「元気にやってたか?」
「はい」
「楽しくやってる?」
「はい。学びたかったことですから」
周囲のこと
おばさんのこと
友達のこと
話はつきることなくいつの間にか来た終電の時間
「それじゃ、もう帰るな。電車なくなるし」
気持ちを伝えることはできなかったけど…
「またくるな」
もう来ることはないけれど
「元気でな」
お前の幸せを祈ってる
「コウスケさん!」
あとすこしできっと泣いていた
俺の腕を握りしめたお前の熱が
ただただ
熱かった