高校時代。
僕は人付き合いが苦手で、イジメられていたわけじゃないが、一人でいることが多かった。
だけど、唯一積極的になれる人がいた。
同じ部活だった彰。
一人でいた僕の手を引いてくれた。
彰は、人のことをほっとけない性格だから誰にでも優しい。
だけど、嬉しかった。
2年の文化祭。
僕たちのクラスは、バンドをやったり、劇をやったりパフォーマンスしたりしようってコトになった。
部活を辞めていた僕は、放課後ヒマなのでいろいろ手伝った。
彰のクラスは喫茶店だそうだ。
誰が何をやるのかを決める話し合い。
僕はバンドのボーカルになった。
メンバーは全員男子。
みんな明るい人たちでなかなか交ざれなかった。
初練習の日。
個人でしてきた練習を初めて合わせた。
リーダーで、ドラムの和磨が作った曲。
個々で練習してたときは微妙な感じだったが、合わせてみると完成度は高かった。
「なかなかじゃね?」
「和磨スゲェな!」
みんなで騒いでるのを見てると、
「光、歌上手いじゃん」
「え!そんなことないよ…」
いきなり振られて驚いた。
「いっつも喋んないから全然わかんなかった」
「よし!光、一緒に曲作らねぇ?」
「ぇ!?」
「だって、国語と音楽得意だろ?だったら大丈夫だって」
「う、うん…」
「よし、じゃあもう一回合わせて今日は終わりな。光、チョット話しあるから残って」
「うん!」
二回目は、一回目より上手く聴こえた。