高2の春。
まだノンケだった。
部活をやっていない俺は、暇なので保健室で惰眠を貪ることにした。
幸い、ベッドには誰もいなく、先生もOKしてくれた。
ベッドに横になり、目を瞑る。
すぐに眠れるのは俺の特技だ。
今回も5とせずに眠りに落ちた。
「・・・ん」
起きた時には5時半だった。
だいたい、二時間寝ていた。
俺はベッドから降り、仕切りから顔を覗かせた。
先生はいなかった。
保健室には一人の男子。
「あの、先生どこに行ったかわかりますか?」
俺は男子生徒に声をかけた。
「会議だそうですよ」
笑顔で振り返ってきた男子には、見覚えがあった。
「ぉ、久し振りじゃん」
「ぇ、先輩・・・?」
驚いた様子の男子。
名前は高野孝則。
小学校の時には委員会、中学の時には部活で一緒だった。
「なんだよその疑問形は」
「ぃぇ、ちょっとびっくりして」
一年見ない間にちょっと身長が伸びたのだろうか。
体つきも少しスリムになった。
「同じ高校に来てたんだ。で、体調悪いのか?」
「違いますよ。俺は普段からここにいますから」
「保健委員?」
「いえ、ただ、ちょっといろいろと」
困ったような笑みを浮かべた高野。
「そか、大変なんだないろいろと」
俺は聞いちゃいけないと思い、話を区切った。
「先輩、今日、一緒に帰れますか?」
「ぁ、うん、大丈夫だけど」
「よかった。話したいことたくさんあるんですよ」
なぜだか、高野の微笑みにドキッとしてしまった。