練習の反省会をした後、就寝の時間になった。
練習で疲れていたので、僕は真っ先に2段ベッドの上段に入った。
周りではまだ話し声がしていたが、よっぽど疲れていたのだろうか、すぐにでも眠れそうだった。
現実世界と夢の世界の境界線をフラフラとしていると、急に誰かが僕を呼ぶ声がした。
「翔太先輩!」
壮介の声だ。
その声を聞いた途端、急に僕の中に現実世界が戻ってきた。
「ん?どうした?」
「いや、全然眠くなくて…。眠たくなるまで一緒に寝て良いですか?」
「おいおい、小学校じゃないんだから…」
僕は自信が無かった。
今朝のバスでのことや、浴場でのことがあったから。
今までは周りに人がいたから何とかブレーキをかけることができたが、今は2段ベッドの上段。
周りからは死角となってしまう為、歯止めが効かなくなる。
「え〜。だってぇ…」
あぁ…反則だ。
そんな声で言われたら何でもOKするなに決まってるじゃないか。
「眠たくなるまでだからな?寝る時はちゃんと自分の所に戻れよ?」
「はい。ありがとうございます!」
はぁ。結局俺はこうやってズルズルと…。
間違いがあっては絶対にいけないのだ。
僕は、かつて無い程に気を引き締めた。