「いやぁ、俺いないっすよ!そんじょそこらの女じゃ立たないっすもん!」
「お前どんだけ理想たけーんだよ!」
「いやいや、じゃあお前誰で抜いてんだよ?」
「安達祐実っすね!」
「マジかよ!それはないわぁ(笑)」
「てかぜってー安達祐実より可愛いのいるから!」
ボロクソ言われたが、僕の昔のアイドルに助けられた。
中学時代は違う意味で安達祐実にお世話になることになる。
「おい、佐野!次はお前だよ。」
遂に壮介の番が来た。僕は壮介がどう答えるのか、聞きたいような聞きたくないような、複雑な気持ちだった。
「俺はですね、今日はちょっと言えないんですよ。」
「は?何でだよ?」
「いや、ちょっと…」
「はー?つまんねーよ!」
「すみません。でも次の機会には絶対に言いますので!」
「言ったからな?そいつ可愛いの?」
「はい!マジやばいっすよ。付き合うことになったら報告しますね!」
僕はその瞬間に、下腹の辺りが冷えたのがわかった。
付き合うことになったら報告すると言うことは、壮介の片思いの相手は女の子ってことになる。
やっぱり俺のことは憧れで止まってるのかな…。
聞きたくないことを耳にしてしまった。
その日は、壮介の笑顔を見るのが辛かった。