文化祭当日。
髪を整え、服を着る。
坊主の人はカツラを被った。
俺は髪が長い方なのでそのままだった。
ちゃんとメイクもした。
そして開店時間。
「いらっしゃいませ〜」
野太い声は、やはり怖い。
でも、みんな頑張ってた。
「スミマセ〜ン、注文イイッスか?」
「はーい」
呼ばれて振り返る。
「やっぱ裕一だ」
「先輩!?」
2年の先輩たちだった。
「可愛い〜、俺の彼女でもここまで可愛くないぞ」
「ちゃんと剃ってるし!あとで全身チェックしてやるよ」
「今度、その格好で出掛けない?」
「マジ萌えだ〜。ギザカワユス」
口々に騒ぐ先輩方。
「は、早く注文言ってください!」
恥ずかしくて身体が暑い。
「えと、じゃあ俺はココア」
「俺は紅茶」
「俺は……」
そんなこんなで注文を聞き、出来た品を届ける。
「お待たせしました〜」
「裕ちゃん可愛い〜」「写メ撮っちゃった」
「俺はムービーだよ」
「ネットに流しても大丈夫な感じ」
バカな会話を遮るように、品物を置く。
「裕一、休憩になったら一緒に行かない?」
「ぇ?」
「ほら、一人よりみんなの方がイイじゃん」
「わかりました。もうすぐ休憩なんで待っててください」
「裕〜、休憩入ってイイよ〜」
「わかったぁ」
委員長の声がし、休憩になったコトを知らされる。
「先輩、休憩になったんで着替えてきますね」
「いいよいいよ。ほら行こ!」
俺は女装のまま連れ出されてしまった。