そして土曜日。
コウスケがスポーツ店に行きたいと言い出して、俺らは昼にツタヤに集合してスポーツ店へ。
「おーい!まだか?手袋1枚に何時間かけんだよ」
「…ん?お、ジュンキ。これどう思う?」
コウスケは白い野球用の手袋を見せてきた。
「いいんじゃね?白ってとこが斬新だよな!」
正直どれも同じに見えてどうでもよかった。早く決めて次に行きたい。もうかれこれ1時間はここで過ごしてる。俺は暇になり、陸上用具を見たりしたが、陸上って見るのシューズくらいだから、またすぐに暇になっていた。
コウスケは俺の適当な返事を見破った。
「ホンマは思ってないやろ?」
「いや、思ってるよ!こんなにも白が似合う奴、コウスケ以外におらんなぁって。ちょい、付けてみ?」
俺はとにかくコウスケをせかす。コウスケはしぶしぶ付けた。
「ほれ!イケメンコウスケがますますかっこよくなったで!(笑)」
「ジュンキ、お前笑っとるやないか(笑)もうええ、これに決めた!こういうんは付ける人間によるんや!」
コウスケはそう自分に言い聞かせてレジに向かった。
スポーツ店を出たころには3時を回っていた。
「おし!サンキュウな!ジュンキ。お前はどっか行きたいとこないんか?」
「ああ、特にない」
「そうか?じゃあスーパー行くで!今夜は鍋や!」
「あ、だからそんなボロいバック持ってるんだ(笑)」
「ボロ言うな!世界を救うエコバックやぞ!」
コウスケはそう言って、そのボロバックを丁寧に折り曲げてポケットにしまった。
コウスケは案外そういうとこがちっちゃくて、俺はそんなコウスケをかわいいと思った(笑)
スーパーで、コウスケはかなり張り切っていて、俺はコウスケの指示どおりの材料を探したり、2人で隠し味は何がいいかを考えたりして、結局リンゴっていうありきたりな物に決まったのだが、それらを2時間かけて選び歩いた。その2時間はあっという間だった。
ずっと笑ってた気がする。
「ホンマに合うのか?鍋にリンゴって。カレーじゃなくて鍋だろ?」
「俺も知らん。もう買ったんやから今さら言ってもしゃあない。それにありえんくらい美味いかもしれんやろ?」
俺らはスーパーを出て、コウスケの家に向かった。
ボロバックがコウスケに似合ってなくて笑える。
「まぁ、今日は全てコウスケに任せることになってるし。頼むで!」
俺がそう言うとコウスケは急にニヤついた。
「おう!なんや俺ら、同棲しとるみたいやな(笑)買い物行って、これから一緒に料理作って」
「え?んー、まぁ、そうかもな」
俺は否定しようと思ったけど、うなずいた。
コウスケを見ると、おなじみの白い歯を見せて笑っていた。