正人さんを抱きしめて何分たったのかわからなかった。
正人さんが俺の手をゆっくり離し『ありがと(笑)少し、だいぶスッとした』と言って立ち上がった。
「大丈夫っすか?」
『俺はもう大丈夫、サンキュな。』
「いいえ。」
『今日、泊まってって。気分変えて飲もう!』
「はい。」
正人さんが熱燗の用意をしていた。
『さっ、風呂行くか!』
「今からですか?ってどこで飲むんすか?」
にやける正人さん。
正人さんのマンションには、とてつもなくデカい風呂があって、窓を開けると露天風呂のようになる。自慢の風呂らしい。
『男同士、裸の付き合いしようぜ!』
「…はい」
熱燗を持って、桶に載っける。2人でスッポンポンで正人さんの風呂に入った。
ほんのり街中の夜景が見える。
『「カンパーイ」』
最高の景観と環境だった。
「綺麗ですね、マジで最高です!正人さん家の風呂!こんな金持ち見たことないっすわ!」
『家が金持ってるだけ。俺は普通のサラリーマンだから(笑)』
「俺、妻と子供が逝ってから笑えなくて。本当に人と触れ合いたくなくて。でも正人さんが来てくれてこの2日間で心の中が軽くなって。感謝してるんです。本当に。」
『俺は里菜ちゃんに救われたから、返しきれない恩があるんだ。だから大翔君放って置けなかった。もちろん恩返しだけじゃないよ。痛みを分かち合えるっつうか…』
正人さんはその後何も言わないで笑って夜景を見てた。
『俺も笑ったの久しぶり!』って景色を見ながら。
俺はドキドキした。正人さんの顔を見て、心臓が高鳴った。
何だろう?酔っ払ったのかと思った。
その時、正人さんが『これからも会えるかな?年とか関係なく、俺大翔君といると楽しいから。何でも話せる、いい友達として。』と言ってきた。
「もちろんです!」
よくわからない、何の友情だかもわからない友達が出来た。
のぼせそうな位入ったのでそろそろ上がろうと思って浴槽から出た時、足取りがおぼつかない正人さんが転んだ。
「大丈夫っすか(笑)どんくさいっすね!」と言って起こそうとしたら、ツルツルの体で上手くおきあがらせれず、手を引っ張って起きあげようとしたら、ツルっと滑り尻餅を付いた。
2人で大笑い。
『ドン臭いのはご主人も一緒(笑)、アソコもケツも丸見えだし(笑)』と言って笑ってる。
そういう正人さんも丸見えだ。
その時、いきなり立ち上がって俺を起こしいきなり抱きしめてきた。
「正人さん!あたってるから(汗)あたってるって(笑)飲みすぎですって絶対(笑)、早く離れてって(笑)」
実際くすぐったかったような、柔らかいのがピタッとくっついてきたあの時の感触は今も忘れられない。
『俺、もう女を好きになれないかもしれない。』
その言葉を聞いた途端、俺も正人さんの背中に手を回してた。
「俺も、妻が死んだばっかりでそんな事考えられないです、、、」
お互い顔を見合わせた。
キスをした。
一回は短かった。
目があった。
キスをした。
二回目は長かった。
また目があった。
この時は、もう既にお互いの下半身が固くなっていた。
わからない者同士で、ただお互い堅いモノを押し当てながらキスをしてた。
三回目のキスは長く、風呂場から正人さんのベッドへ移動していた。唇は離さず、抱き合いながら階段を登って。
理性を失ってた。