レスありがとうございます。
こんな陰気くせー話を聞いてくれて感謝してます。仕事が多忙でちょこちょこになりますが書き込み頑張ります。
続きです。
正人さんが泣いているのが、何だか切なくて抱きしめ続けてた。
『俺の嫁、ずっと不倫してた。結婚するまえから続いてた人がいて…それが今の直属の上司で、上司も離婚した後、俺の嫁と再婚してさ。みんな面白がって…』
「…はい」
『離婚届を持って来た時、嫁は言ったよ。吐き捨てるように。【退屈だったって】。[背も高い、実家はお金もある、学歴だって文句ない、ルックスだってそう、近所の人や友人には自慢できた。でもあなたとセックスしてる時も彼の事を考えてたの。何となく一緒になっただけよ]って。』
「…はい」
頷くことしか出来なかった。
『俺にもプライドぐら
いある。すぐ離婚届に判押した。相手が不倫したけど、男としてのプライドで最後に慰謝料500万払ったさ。そしたらその慰謝料を、上司の離婚の慰謝料にしたって。助かった、ありがとうって。』
「…はい」
『上司は俺の事が嫌いだったと思う。みんなに離婚した事を言って、上司を慰めようって事で飲み会をしたんだ。俺は行きたくなかったけど、立場があるから後輩、部下を連れて行ったよ。その場で[みんなに言ってなかったけど、再婚するんだ。今日再婚相手を呼んでるから挨拶してくれよ、みんな!]って。嫌な予感がしたんだ。的中したよ。全員の前で別れた妻が挨拶。周りは全員俺を見たよ。』
「…」
『上司はみんなの前で言った。[そう言う事。××(正人さんの名字)の妻と再婚したんだ。大人だから、その辺理解してくれよ]って。みんな黙ってさ。次の日から晒し者だよ。』
「…はい」
『その時だよ、ご主人、いや違った、大翔君の奥さんだけが変わらず接してくれた。周りが腫れ物扱いするのに、里菜ちゃんだけだった。俺と話するの気使わないのか?って聞いたら、《馬鹿馬鹿しい、週刊誌の記者じゃあるまいし》って笑い飛ばしてた。《家の人も私も人の痛みがわからない奴がこの世で一番嫌いなの!》って。救われたんだ。だから…だから大翔君と同じ、立場は違うけど、悲しいよ俺も…』
泣きじゃくっていた。俺も正人さんにつられて泣いた。
でも声に出さないようにした。
正人さんに前日救われたのは俺。
きっと死んだ妻が、俺と正人さんが孤独にならないように引き合わせてくれた縁だから。
正人さんの涙をハンカチで拭いた。
『もう少し、力入れて抱きしめててくれるかな?』
何も言わず抱きしめた。痛いって言われる位。
正人さんは、俺の知らない妻を知ってる、だから妻が守ろうとした、妻の上司正人さんを心から支えたい、そう思った。