のっちさんはどこ住みだったかな?遠距離は大変だよね〜。俺には我慢できない〜。
必ずしも合格するわけではないが、それさえ乗り切れば卒業後も会えない事はないわけだ。にも関わらずヒカルが終わりを公言するって事は理由は他にあるって事だと想像がつく。
光「今は勉強だけしてればいいんだよ。話は合格してからでも」
相変わらずキスを続け、確信については触れずにすり抜けられてしまう。
俺『進路も分かったわけだし徐々に理解していけばいいさ』
この時はそう思うしかなかった。ヒカルが鬱ぎ込んでいたところからようやく立ち直ってきた時に揉める事だけはしたくなかったし、今日はそれで良いと思う。
光「おまえはどうなんだよ。彼女放っておいて東京に出て大丈夫なのか?」
ヒカルはジンに話を向けた。
仁「平気さ。結婚するまで一緒だって誓ったわけだからな。離れていても信用してれば問題ないね」
俺「ジンは性格もいいししっかりしてるもんね。彼女が羨ましいよ」
つい出てしまった言葉に心の中で反省する。
仁「なら俺を好きになれば良かったな。俺ならシュウを一生大事にするのに」
光「嘘つけ。おまえが喜ばす事なんてできないだろ?シュウと出来ないクセして」
仁「分からないだろ、そんなの。なんなら今試してみるか!」
光「おぅ、やって見せてみろよ」
冗談だと思いつつも中腰まで立ち上がろうとする2人の様子を見てると呆れるだけだ。
俺「はいはい。俺は2人の玩具でもないんだし、大人の玩具でもないんだから」
いつまで経っても3人でいると最後はこんな感じになってしまう…。
それからしばらくの間、ジンは母親の持ってきた紅茶を美味そうに何杯も飲み、俺とヒカルはそんなジンを冷ややかに見ながら軽くイチャついていた。
光「ジン、正月からいつまでも邪魔してちゃ悪いから帰るぞ」
仁「あぁ、紅茶美味すぎて動けなくなっちゃうな」
俺「また来ればいいよ。2人とも外見に較べてなぜかウチじゃ評判いいんだからね」
仁「シュウの親は見る目あるよ」
そう言いながらジンが立ち上がる。ジンをド突きながら2人を見送る為に一緒に外に出た。
光「勉強頑張れよ」
俺「うん、またね」
ヒカルがメットを被りエンジンをかけた。
仁「シュウ、ちょっと」
ジンが耳打ちする。
仁「段々変わってきたみたいだぜ。そう思うけどな」
俺「何が?」
仁「へへっ!」
ジンもそれっきりメットを被ってしまったので何の事なのかさっぱり分からなかった。