のっちさん、いつもありがとう。ノンケなの?サイトで知り合ったんならバイなんじゃない?もう会ったのかな?
類は友を呼ぶ、という慣用句は良い意味でも使われるのだろうか。正に俺達の高校生活はそんな感じだった。
ジンを橋渡しとして知り合い、いつの間にかそれぞれが無くてはならない存在になっているが、長い様で短かった3年間のつきあいももうすぐ終わろうとしている。
ずっとこの2人と一緒にいたいと思うのは、俺が『男を好き』だからという理由ではないはずだ。
仁「おい、代表選手!」
コタツの向こう側に座ったジンが俺の方を向いて呼びかけたので俺を呼んでいるんだろう。
俺「代表?」
仁「そうそう。俺達の代表選手だよ。勉強はどうだ?捗っているか?」
俺「あ〜そうだね。何とか」
光「1ヶ月くらい俺のせいで無駄にしちゃっただろ?悪かったな」
俺の横にピッタリとくっついて座ったヒカルが話しかけてくる。コタツは四角く4面あるので普通はそれぞれの面に座るはずだが、そんな事は構わず俺の横から離れようとしない。ただジンも今更そんなヒカルの行動を気にかけていない様子だ。
俺「気にする事ないよ。俺がそんな事くらいで負けると思う?」
仁「うん」
俺「えっ?」
光「そうだな、大負け」
俺「何それ。普通はそうじゃなくても励ますでしょ。何その2人の連携は…」
ジンはニタニタ笑い、ヒカルは握った俺の手の甲にキスをして誤魔化していた。まぁ俺もそんな言葉に本気で拗ねているわけではない…はずだ…。
仁「そんな膨れ面すんなよ。でも頑張れよな」
俺「ジンは就職だった?」
仁「いや、実家に残ろうと思ってたんだけど、経営学の勉強って事で専門学校でOKが出たんだよ。俺報告しなかったか?」
ジンの実家はホテルを経営している。長男でもあるしそのまま実家に残るのかと思っていた。
俺「知らなかった。場所は?」
仁「都内」
俺「もう決まってるの?」
仁「急遽決まったから今から試験だよ」
俺「そっか。じゃ頑張らなきゃね。お互い合格すれば都内で会えるね」
仁「そうだな」
そこまで話が進んだところでやっぱりヒカルはどうなのか聞かないわけにはいかないが、俺は何だか怯えてしまいストレートに聞く事ができなかった。
2人とも察したのか気マズい雰囲気が漂っている。という事はジンもヒカルの進路を知っているっていう事か…。
光「俺トイレ行ってくるよ」
ヒカルはそう言って立ち上がった。いかにもなタイミングだ。