家族とは歩くペースを異にして、やや離れてからヒカルにメールを送ってみる。新年最初のやりとりは夜中に済ませているが、かなり遅い時間だったので午前中はまだ寝ているかもしれないと思いながらもメールをしてみた。
俺『おはよ。起きたかな?』
そう打ち込み、歩きながら当てのない返信を待つ事にしたが、意外にもすぐに返ってきた。
光『起きてるよ。シュウも早いんだな』
俺『初詣だからね。早く行かないと御利益がなくなりそうだからさ。ヒカルは?』
起きてる事に驚いたがメールが来た事に対して俺は素直に嬉しく思っていた。
光『俺もだよ。朝早く起こされて今行ってきたところさ。もう家に帰ってきたけどな。どうかしたのか?』
やっぱりヒカルが進んで起きるわけがなく、そういう事なら納得もいく。但しよく起きれたもんだと考えていた。だいたい学校がある時にだってすんなりと起きた事などほとんどないからだ。
俺『なんとなく話してみたかっただけだけどね。今いい?』
光『いいけどさ、今ジンからもメールがあって、おまえン家に遊びに行こうかって話してたところなんだよ。明日辺りどうだ?』
これは驚きだ。今まで会うのを拒否されていた事を考えると正に青天の霹靂だった。
俺『もう大丈夫なの?』
光『あぁ、迷惑かけたな。大事な時期だったのにつきあわせちゃったよな』
珍しくストレートなお詫びだ。
俺『構わないよ〜。大事な人が苦しんでる時には助けなきゃね。じゃ2人で来る?』
光『色々悪かったな。2人で行くよ。何時にすればいいんだ?』
俺『午後でいいんじゃない?』
光『そうだな。それほど長居はしないからさ。正月から失礼なマネはできないしな。昼過ぎに行くよ』
俺『了解!』
そう返信し、ホっとして携帯電話を折り畳んだ。
今は会えるだけでも嬉しい。短い時間であってもジンが一緒でもどうでも良よかった。とにかく会いたかった。
端から見るとたったそれだけの事かもしれないが、完璧とまではいかないまでも新年から何だかハッピーな気持ちになれている。
稲荷神社から家まで歩いて戻る途中ではあったが、浮かれ過ぎの余り、もう一度戻って油揚げの御供えを追加してこようかと真面目に思ったくらいだ。
次の日昼飯を食べ部屋で待っていると、1時過ぎにバイクで2人がやってきた。急いで玄関に向かい招き入れる。
俺への挨拶もソコソコに俺の両親に新年の挨拶をする為に居間へと向かった。
いつもながらポイントだけは押さえている。