ホントにホントに応援ありがとうございます。
今回は出来たらゆーっくり見てください(笑)。
病院に向かった。
もう外は真っ暗だった。
面会時間は過ぎていた。
かなた母も帰ってるやろ。
俺はこっそり忍び込んだ。
かなたは俺に何も言わなかった。
俺にもう会いたくないのかもしれない。
いろんなことが頭をよぎった。
病室の前に着いた。
かなたの部屋は幸い個室。
少しドアが開いていた。
のぞいた。
かなたはベットに仰向けで携帯をじっと眺めていた。
寂しそうだった。
「かなた。」
俺は部屋に入った。
かなた「えっ?」
かなたはびくっとして携帯を置き、寝ながら俺に背を向けた。
かなた「何しに来たん?」
冷たい口調で言った。
完全に俺避けられてる…。
「なんで言わんねん。
暴力うけてたんやろ?」
かなた「は?
何言うてんの?
階段から落ちたんやって。」
「まあ、俺に言ってもしゃーないしな。
ごめんな。
会いたくもないやつがノコノコ来て。」
かなたは動かなかった。
俺はパイプ椅子に座る。
「かなた?」
向こうむきのかなたはわずかに震えていた。
かなた「別にいいよ。
…学校行かんでいいし…、宿題ないし…」
声が震えていた。
かなた「楽でいいけど…」
鼻声だった。
かなた「でもめっちゃヒマやからな…」
ゆっくりしゃべった。
かなた「やから、別にいいよ。…おっても。」
鼻をすすった。
2分くらい沈黙があった。
かなたがかぼそい声を出した。
かなた「こわ…かった…」
完全に泣いていた。
「えっ?」
かなた「勉強…してたら…体触ってきた。
無理やり…襲ってきた…。
拒否ったら…蹴ってきた。
めっちゃ…こわかった。
…こわかった…。」
えっ?…。
衝撃だった。
その先生は無理やりかなたを襲おうとした。
かなたは抵抗した。
それで暴力に…。
…最悪。
てか…。
俺も一緒やん。
無理やり襲って…。
がく然とした。
俺はかなたの方を見れなかった。
「俺も…、
俺も一緒やん…。」
かなたはすぐに答えた。
かなた「先生は…ちがう。
先生は…。
はやとは…ちがう…。
はやとには…腰のアザ…見られたくなかった。
このこと…知られたくなかった。
やから…突き飛ばしてしまった。」
「えっ…?
…てかなんでやねん。
なんで隠すねん。
俺はそんな頼りないか?
なんですぐ俺に相談しーひんねん。」
てか気付いてもあげられない…。
長いこと一緒におって…。
そりゃ頼りにされるわけないって俺…。
かなた「先生が家庭教師辞めて…新しい人来た。
でも…その人がいややから…勉強サボったんちゃう。
暴力されるから…やめたいんじゃない。
……先生に会いたかったから…サボった。
でも暴力のこと言ったらそれが伝わらんくなると思っ…
んぐっ…
俺…
気持ち伝えるん…
下手やから…。」
「そんな理由で…」
涙でかなたの頭がゆがんだ。
俺のせいで…。
俺のために…。
かなた「だから…テストでがんばって…、自分で解決しようと思って…。」
「なんでやねん…。」
ムカついた。
ムカついて涙が止まらなかった。
「弱いくせに…。
不器用なくせに…。
すぐ泣くくせに…。
なんで1人で解決しようとすんねん。
…。
もういいって。
十分がんばったって。
もう甘えてもいいって。
俺が…。
俺がかなた守るから。」
かなたは声を出して泣いた。
かなた「う゛ん…。う。」
かなたは泣きながら…、
向こうを向きながら…、
首を縦に振った。
俺は頭を撫でてやった。
かなたは俺の手を握りしめた。
弱々しい腕だった。
でも…
あたたかかった。
消灯時間。
看護婦さんが来た。
俺は棚の後ろに隠れた(笑)。
消灯した。
「俺そろそろ帰るわ。
ばれたらヤバいし。」
かなた「うん。」
かなたは真っ暗な中、また俺の手を握った。
でもやっぱりむこうを向いている。
「かなたー?」
かなた「あと30分」
はあ。
ドキドキするんやって(笑)。
「もう泣きやんだんかー?」
かなた「泣いてないし。」
おいおいっ(笑)。
「かなたー?」
泣き疲れたのか寝てた。
スーっと寝息を立てて。
近づいて見ると、
寝顔がちょっと笑っているように見えた。
安心した。
かわいかった。
そっとキスして…
こっそり帰った。
次の日夕方。
かなたは退院したらしい。
あんなことがあったし、まだ当然足も治っていないこともあり、かなた家の放任主義はしばらく封印されるだろう。
メールがきた。
送信予約メール(電波が入った時点で送信されるやつ)
送信日時月曜20時30分
俺が昨日病院に着く前くらい。
送信者かなた
(会いたい)