しかし…
それまで眠くて半目で正面の壁を見つめていた俺は、反応の無い安西に振り向く。
安西の顔は、何処かうつろで何より近かった(俺の肩くらいまで体乗り出して顔寄せてたと思う)
俺「…(近いし)何?」
安西「…やっぱ可愛い顔してんなぁって…」
(こいつ、絶対ホモだ…)
バイだけど、今まで経験も無いし
ホモと思った人間に遭遇した事も無かったので、一瞬戸惑ったが
スルーしようと決め込んだ(何よりマジで眠かったし)
俺「…だからそれ、全然嬉しくな」
今でもハッキリと覚えてるけど、
自分の声が綺麗に「な」の部分で途切れた。
安西の口が俺の口に触れたのだ。
(ぅゎ、マジかよ)
むしろ、キスにじゃなくて、
そこまで積極的な奴だったのかと驚いた。
その時には舌までは入れて来なかったけど、口を塞いだまま頭を撫でられる。
ハードワックスで固めてたので、ゴワゴワ。違和感。
撫でられてると言うより、セット崩されてる様な感じ。
俺「…え、え。…待て」
ディープでも無いのにやけに長かった口付けから開放され
テンパって見せてみる。(いや、考えてみるとキスぐらいで年下に動じる所見せたのがそもそも悪い)
安西「…何?」
目がイッちゃってます。マジ怖いですよ。君。
俺「俺、男。安西、男。OK?」←うろ覚え
安西「関係無〜い」
素面でこんなに性格変わる奴も珍しい。
呆然として何も言わない俺に調子に乗ったのか安西が再び近付いてくる。
今度は、挑発的に舌出しながら。
俺「ぅわ…ちょ…」
まぁ、俺も男の子だし大して抵抗しなかったけど(笑)
今度は普通にディープな口付け。
目を開けてたら、安西と目が合って怖いので(笑)目を閉じる。
「ふ…」
とか
「…あ…」
とか、クチュクチュと言う卑猥な音と一緒にエロい声が漏れる。
(あーヤバい。流される…)
安西からのキスはそこまで上手いとは感じなかったけど、
この雰囲気がもう。
酔ってるのが加わり、興奮してきた俺は重大な事に気付く。
(鍵、閉めてねぇ…!!)
独身寮と言っても、隣の奴とはタメで仲良いし
用事がある時に(ほぼ毎日)お互いノックもせずに部屋に入り合う間柄で。