そこまで言いかけると、もう一人の新人難波が口を挟む。
難波「そうそう!飲みが始まってからずっとヤスが太一さんの事可愛い可愛い言ってるんスよ!」
俺「ヤス?」
俺が聞き返すと、
難波と新谷に挟まれた最後の新人安西が慌てた様子で口を開く
安西「ばっ!お前!」
難波の頭を叩き、
照れを隠す様に笑う安西に
(お、なかなか爽やか青年じゃん)
と一瞬思った。
俺「や、男相手に可愛いはどうなんだ」
語尾に嬉しくないし、と付け足すと
安西「や、マジでジャニ系じゃん。もちろん、彼女居ますよね?」
グサリ。
2ヵ月前にフラれた俺に取って最も言ってはいけない言葉が。
俺「あー、どうせ今はフリーですが何か」
少しだけムッとして、そう返すと意外そうに声を上げる3人。
安西「そんだけ可愛いのに何で…」
だから、それ褒め言葉じゃねぇし。
何だか無性に腹が立ってきたので(フラれた理由が「男らしくない」という事だったのと重なったんだと思う)
とりあえず、その場にあった瓶ビールを全て飲み干した。(やけ酒…笑)
気が付くと、飲み会のシメが始まり
皆で一本締めをして
終了しました。
飲みに飲んだ最後の方の俺は凄まじく、
先輩と仕事の話で口論になったり
上司と踊ったりと、
とにかくハイだったらしい(その辺少しだけ記憶ぶっ飛んでます)
吐いてダウンするほどでは無かったけど、
立ち上がった時にあまりにフラフラしてしまったので、
見るに見兼ねた上司が安西に向かって
「おい!安西!お前も寮に入ってんだろ!太一を連れて帰ってやってくれないか!」
会社に独身寮があり、そこに入っている俺は
同じく4月から入寮していた安西に連れられタクシーに乗り込んだ。
安西「大丈夫ですか〜?」
未成年であるため、
酒は乾杯の時に一口しか付けていない安西はハッキリとした口調で俺の肩を軽く叩く。
俺「ん〜…ぉぅ。途中記憶無いけど、今はへーきー」
意識はハッキリしているのに、
自分でも思うほどの滑舌の悪さ。
非常に格好悪い。