オレが注文を確認している時、ヨウがエプロンの端をつまんでニヤニヤしている。いつもは笑わないヨウがやけにニコニコしていたので、
「どうしたの??」
って聞いてみた。
「○○に告白されちゃった戞ラ
そう言ってヨウは嬉しそうに笑う。そんなヨウをよそにオレは唖然としていた。
しばらく息ができなかった。
○○はオレと同中で仲のいい友だちだ。大人っぽくてカワイイのに、気取ってないところが人気で学年でもトップ3には入る美女だ。
そんな子に告白されたんだ、嬉しくないはずがない。色々言いたいことはあったけど、あのままそこにいたら泣きそうだったから、堪えてキッチンに戻った。
今日のUP作業はトイレ清掃だったため、すぐさまトイレにかけこんだ。
なんだか胸がキューって苦しくなって、ヨウのあの笑顔が浮かんでくる。
「告白されちゃった」
って喜んでいるヨウの笑顔。毎日、ウザがられながら話しかけたオレにだけしか見せないと思っていた表情。
その笑顔を、○○はたった一言で手に入れて、いとも簡単にヨウを独り占めしようとしている。
悔しくて悲しくて堪らなかった。
ヨウがオレのそばからいなくなるのが怖かった。
身体中の水分を涙に変えて出してからバイト先を後にした。
もちろんヨウには内緒で。
ヨウの笑顔を見るのは辛いから。あの子の話でヨウがニコニコするのは見たくないから。
そっと裏口から帰った。