それから5日間毎日ウチで過ごす事になった。朝10時くらいから夜9時くらいまでは2人だけになる。
日焼けして、ゲームやって、飯食べて、映画観て、好きな事をやり好きな時に寝るって感じでダラダラと過ごした。でもヒカルが横にいるだけ、それだけで幸せな気分になれる。
3日目に日焼けをしにベランダに出て気づく。家族の洗濯物と一緒にヒカルの洗濯物も一緒に干されていた。ヒカルも家族と普通に接しているし、家族から見ても一員の様な存在になってる表れかなと思い、なんとなく微笑ましく感じてしまった。
この日は午前中は日焼けしたものの、午後は俄かに天候が悪くなり、昼間にも関わらず真っ暗になった。雷の音が遠くで聞こえ出してきた。忽ち雨も降り出したかと思うとみるみる強く激しくなる。
いきなり閃光が走り、ヒカルが楽しんでいたゲームの画面が消え、続いてコダマのような大きな雷鳴が響き渡った。
光「うぁ、すげぇな。せっかくいいところだったのに停電かよ」
俺「俺雷は苦手だよ、怖い」
実際には苦手なんてもんじゃない。地震よりも火事よりも、そしてオヤジよりも雷が怖い…。
光「子供じゃないんだし」
ヒカルは馬鹿にした様に言ったが、停電でする事もなくなったので、ベッドで本を読んでいた俺の隣りに来た。
俺も、実際に本を読めないくらい真っ暗になってきた事と雷の稲光が怖いのとで、うつ伏せになって雷の光が見えないように布団に顔を埋めた。
光「あーあー、ホントお子ちゃまだよな」
そう言いながらも横で頭を撫でている。また光って大音響が響いた。しばらく雷が続きそうだ。
光「シュウ…しようぜ」
俺「雷が怖くて顔を上げられない」
光「俺がいるだろ?雷と俺とどっちが怖いんだ?」
俺「…同じくらい」
ヒカルは立ち上がり部屋のカーテンをすべて閉め、戻ってきて力ずくで俺を仰向けにして上にのしかかってきた。
光「じゃ雷なんか忘れるくらい怖い思いを体験してみるか?」
俺「忘れるくらい気持ちいい思いをしたいよ」
ヒカルはニヤって笑ってキスをしながら言った。
光「わかったよ。まかせな、俺が気持ちよくしてやるから」
いきなり着ていたTシャツ、半パンとボクサーパンツすべてを脱がされる。
俺が雷を怖がって何もできない事を悟ったのか、それとも学校のトイレでやった事のお返しって事か、俺だけが裸にされ一方的に攻められる事になった。
顔から始まった愛撫は、濃厚なキスへと変わる。それから耳から首筋へと移る。下へ下へと正にヒカルの舌が這うように進んで行く。
俺はしばらく続く気持ち良さに、すでに雷の恐怖も忘れかけていた。
一旦動きを止め、ヒカルは鞄からローションを出してきた。すぐには使わず、再び舌で体中を攻めたて始める。
イヤらしい舌の動きに加えてモノを直接シゴかれ出したので、たちまち我慢汁が噴き出してくるのが感覚として分かる。
俺の足の間に入り、ヘソから太股の付け根へと舌を這わせる。
いきなりケツを持ち上げる様にして上を向かせ、俺の穴の周りを舐め出してた。
俺「あぅ…ヒカル…そんなことしなくていいよ」
光「俺がしたいんだからいいんだよ。感じてるんだろ?」
俺「うん…ハズかしいけど」
しばらくその体勢で舐められた後、ゆっくりケツを下ろし、今度は俺のモノを咥え出す。
俺「…あぁ…くっ」
生温かい感覚に思わず感じて、再度声を上げてしまう。
ヒカルはチラチラと俺の様子を窺っている様だ。裏筋を舌で舐め上げながら反応を見ている。
その俺は、見られている事も気にせずあまりの気持ち良さに仰け反ってしまっていた。
少しの間たっぷりとしゃぶられた後、ヒカルは俺の横に来て左腕で腕枕をしてきた。それからたっぷりとローションを塗りたくり、俺のモノをゆっくりと右手でシゴき始めた。
ヒカルの身体に包まれて温もりを感じながら、ヒカルの大きな手の動きで快感を味わう。こんな心地良さに浸れる事があるだろうか。
思わずヒカルの顔を見あげた。ヒカルも見下ろし目が合う。その時雷の閃光が走り、思わず顔を背けてしまう。
光「大丈夫だよ。俺がいるだろ」
そう言ってさらに俺の身体を引き寄せてくれる。ヒカルの優しさをさらに強く感じる瞬間だ。
ただ動く手はペースを増してきた。ローションの音をわざと起てる様に激しくシゴかれかなり感じてしまう。
俺「ヒカル…ヤバい…」
あっという間にイキそうになってきた。
光「そっか、このままイキたいのか?」
俺「…うん」
さらに一段と強くシゴかれ、あっというまに絶頂を迎えてしまう。それを表わす様に思わずヒカルの身体にしがみ付く。
光「たっぷり出せよ」
その声に反応するように一気に放出した。自分の胸に何発も放つ。ヒカルも手を緩めないので、さらに勢いよく弾く様に出し捲くり、2度3度と勢いが止まらなかった。ヒカルもじっとそのその様子を観察している。
ようやく最後の1滴を絞り出しヒカルの手が止まった。まだ俺の呼吸は荒く治まらない。
光「気持ちよかったか?」
俺「うん、すごかった…。ありがと、ヒカル」
ヒカルに縋りつき余韻を楽しんでいた。
しばらくして雷雨もおさまり停電も復旧して、日暮れ前にはきれいな夕焼けが出ていた。
夕食後ヒカルは再度ゲームを始めだす。俺も本を読みながら寛いでいた。
窓を開けていると心地良い風が吹き抜けていく。8月もお盆の時期になるとほんの僅かではあるがどこか秋の匂いが感じられる様な気がする。夜風が夏のものに比べ若干だがヒンヤリとしだす。
本を読んでいると、ポケットの中の携帯がブルった。
俺『メールか、誰かな』
確認するとカズヤだ。
俺『そう言えばメールしようって言ってたな』
俺とカズヤは今までほとんどメールで会話をするなんて事がなかった。メールした事と言えば“業務連絡”のようなものくらいだ。元々会話だってそれほどない。コウに言わせると「会話した回数が数えられるくらい」なんて感じだからよっぽどだと思う。実際に友達だってお互いが思っているのが不思議なくらいだ。
チラっとヒカルに目をやる。相変わらず俺に背を向けてゲームに熱中していた。
別にヒカルに内緒にしておく事ではないとは思うが、なんとなく図書館での話が頭を過ぎり黙っていた方が良いんじゃないかって考えが浮かぶ。仕方なくバレない様に本の間に挟んでメールを確認した。
和『何してる?暇だったらメールでもしない?』
俺『大丈夫だよ!この間の宿題終わった?』
最初は普通の話が続いた。
和『夏休みはどこかへ遊びに行った?』
俺『特にはね。これから遊ぶ時間も少なくなるって言うのに、なんか寂しい夏休みだよ。カズヤは?』
和『ボチボチかな。誰とも会ったりしないの?シュウには一緒に遊ぶ奴らがいるだろ』
俺『連絡は取ってるけど遊んだりはしてないよ。みんなバイトとか忙しいらしいし』
実際にジン達には会えないでいた。ただヒカルがウチに来てるって事も言えず、なんとなくカズヤにも嘘をついてしまう。
和『シュウはなんであいつらと仲がいいんだ?』
俺『なんでって言われても。友達だし一緒にいて楽しいって事だからじゃないかな』
和『シュウは日頃からあまりクラスにいないだろ?いつも見あたらない。心配だよ』
俺『心配なんて大げさだよ(笑)あのクラスが嫌いってわけじゃないよ。ただなんとなく居場所がないっていうかさ…』
和『俺がいるだろ?もう少し俺の事を頼っても良くない?』
どういう意味でカズヤが「俺がいる」って言ってるのかメールだと真意が伝わらない。笑って言うのと真顔とでは別の意味にとれる。
一瞬カズヤの顔を思い出したが、「頼れ」なんて、あのカズヤが話す言葉には思えなかった。
カズヤは俺にはあまり笑顔を見せない奴だ。メールの内容を真顔で話すカズヤの様子が脳裏に浮かぶ。俺にはあまり冗談すら言った事がない。真顔で言われたとするとあまりジョークとは受け止められないかもしれないと思った。
俺『それどういう意味さ(笑)』
とりあえず様子を窺う為に、できるだけ当り障りのない内容で返事を返す。
今までよりもカズヤからの返信に時間がかかったような気がした。
和『そのままだよ。心配だからさ。もう少しクラスにいて欲しいし溶け込んで欲しい、そういう事だよ』
俺『だから意味がわかんないってば!てか心配しなくても大丈夫だよ。他にも居場所がないわけじゃないし、今のクラスでも充分楽しいから』
カズヤの真意がわからない以上答えも抽象的に返すしかない。
今度は明らかに返事が遅い。なぜか早く次の言葉が知りたくて返事が遅いことについ苛立ってしまう。チラっとヒカルを見たが変わらずにゲームに集中している。少ししてようやくメールが届いた。
和『俺達はあまり話もしたことないだろ?それが理由じゃダメかな?俺が仲良くしたいって事さ』
やっぱりいつものカズヤじゃないのか…。ますます分からなくなってきて考え込んでしまい、今度は俺の返事が遅れてしまう。
カズヤの顔をもう一度想像してみた。ツンツン立てたショートヘア、スポーツマンらしく日焼けした顔、広い肩幅。ラグビー部ではあるものの決してラグビー体型というわけではなく、バランスの取れた筋肉質な感じだ。同じ筋肉質であるヒカルに比べて、明らかに線の太さが違う。首や足の逞しさがそう感じさせるのかもしれない。“精悍”と言う言葉が正にぴったり当てはまる。
仲が良くなると笑顔も見せるし冗談も言うらしい。ただ基本的には無口で寡黙な性格だ。特に俺がいる時にはせいぜい薄笑い程度にしか笑わない。そこが俺にとってはどうしてもカズヤに踏み込みにくく感じるところではある。
1年の時から隣りのクラスだったので、顔馴染みであり話もしていた。俺にとってはヒカルよりも長い付き合いのはずだ。仲良くなって色々な表情を見せるヒカルに比べ、コウやユタカと3人で仲良く話しているところに俺が加わると、いつも急に黙り込んでしまうカズヤ。最初は俺のことが嫌いなのかと思ったが、嫌がっているわけではないとコウから聞かされてはいた。だから一緒には居るが、実際にそういう態度を毎回取られて気分が良いものではない。正直なところそれがクラスに馴染めない原因の一端になってるわけで…。
そのカズヤが「仲良くしよう」と言ってる。今までもクラスの4人メンバーとしては仲良しグループとして認知されているはずだし、敢えて今仲良くしようってのも不思議な話に思える。友達の発言としては普通であるけど、日頃そんな事を言わないカズヤってところが引っかかってしまう。
普通に受け取って良いのか、別の意味があるのか…。精一杯考えて何とか返事を出してみる。
俺『そっかー。じゃ今度ゆっくり話でもしよっか?』
和『いいのか?じゃたまには2人でゆっくりと話そうな!』
2人でかぁ…。それでも俺の考えすぎなのか。
俺『そうだね。でもコウやユタカは別?』
和『あいつらが居てゆっくり話せるか?』
俺『言えてるね(笑)』
和『じゃ学校が始まったらすぐでいいか?』
俺『構わないよ。でも俺が相手で話が盛り上がる?』
実際に話すと言っても何を話して良いかは全然分からない。会ったものの無言で過ごすって事にはならないのか?第一カズヤが色々話すところなんて全く想像が出来ない。
和『大丈夫さ。俺には話したい事がたくさんあるし聞きたいこともある』
俺『例えばどんな事?』
思い切って聞いてみた。
和『その時にちゃんと話すよ。2人で話す事はみんなに内緒な』
俺『なんで内緒なの?』
和『まあなんか照れ臭いからな。今まで以上に仲良くするって事でいいんだろ?』
このメールを読んでいた時に、一瞬ビクっとしてしまった!
光「あーっ!!なんだよ!」
いきなりヒカルが大声を上げた為、俺はビックリして振り返った。ベッドに座り俺に凭れかかって来る。ゲームをミスってしまった様だ。
メールをしている事がバレてしまったのかと思い、一瞬冷や汗をかいてしまった。
俺『もちろんさ』
俺の背中にしがみ付いて悔しがるヒカルにバレない様に、それだけ急いで打ち込み送信した。
この時『もちろん友達として仲良くするよ』ときちんとメールしておけば良かったが、ヒカルがいた為そこまでできなかった。この日のメールが今後の人生に大きな影響を与える事になるとはこの時点では全く気付かなかった。