俺は高1。まだえばれる学年じゃなく、部活でもしたっぱみたいに働く、正直だるい毎日を送っている。
部活はテニス部。まだコートにたてるほどの学年ではないが、部長に一年の中でも飛び抜けてうまいと言われたので、調子に乗り、今ではコートで練習している。
そりゃあそうだ。小学校からやってるんだから。
部室に入ると先輩からの洗礼が。
水の入ったバケツを直接かけられた。
「お前何そんな濡れてんの〜?」
「汗じゃね?」
「濡れすぎだろ〜」
濡れ濡れ言ってるのは今川先輩。テニスで全学年合同のトーナメント制の交流試合で俺に負けた人だ。
当然同じ一年は手を出せずにいる。自分がされるのが怖いからなのだろう。
すると瓶に入っていた液体をかけられた。
エタノールだ。
「くっせ」
そう言ったのは、番先輩だ。
見た目はかっこいいが、結果が出ない人だ。
今川先輩が近づいてきて、下を向いてる俺に目を合わせる気なのか、しゃがんでいた。
「火ついたらおもしれえよなあ?」
その後先輩達の甲高い笑い声が。
野次馬の先輩達も笑っている。
「お疲れー。
部室に入ってきたのは、櫻井先輩。部長だ。
「お疲れっす。」
態度が一変。俺をいじめていた先輩達が急に丸くなった。
部長は一見いつもアクビばっかしてそうな外見だが、ケンカっぱやく、短気でごう慢。だが、自己主張をしない。部長と同じクラスの兄によれば、授業中はひじをついて寝てるか、必死に勉強してるかのどっちからしい。
気分屋って言ったところか。
櫻井先輩が近づいてきて。
「杁月。何濡れてんの?」
俺の名字を言われて質問されても、俄然うつ向いたままで答えなかった。
「水道で水浴びちゃったみたいですよ」
言ったのは今川先輩。
「そうか。」
部長は一言で受け流した。
「もう用ないやつは帰れ」
部長らしい一言。今川先輩達はなんだか逃げるようにして帰った。
友達も「校門で待ってるよ」と言い「おお」となるべく笑顔で答えた。
部室にいるのはびしょびしょの俺と座ってる部長の二人だけ。
「水道で濡れたんならシャワー浴びるっつーの。なあ?」
俺は無視した。自分の制服をとるために先輩の近くにある自分のエナメルバッグから制服を取り出した。
「シカトしてんじゃねーよ」
濡れた手を部長が掴んできた。「シャワー浴びてきます」
そう言った。
「俺も行こっかな」
そんなわけで俺と櫻井先輩は二人でシャワー場に行った。