▼らいさん:
オーラルセックス(口腔性行)で感染する性感染症には淋菌感染症、クラミジア感染症、ヘルペス感染症、梅毒などがあります。
これらの病気の概要を説明します。
(1) 淋菌感染症:淋菌という菌が引き起こす病気です。男性では尿道炎(尿の出始めの痛み、陰茎の尿道口からの黄色で粘い膿)、女性では子宮頸管炎(帯下増、約半数で無症状)が起こります。潜伏期間(感染機会から症状が出るまで)は2〜7日ですが、
(2) クラミジア感染症:クラミジア・トラコマティスという菌が引き起こす病気です。淋菌感染症と同様の感染部位ですが、潜伏期間は1〜3週間ですが、男性の尿道炎でも症状は弱く、半数が気付かないまま保菌しています。より深部の精巣上体炎(陰嚢内容が腫れて痛くなる)で発症することもあります。
(3) ヘルペス感染症:単純ヘルペスウイルスは口唇や口腔内に水疱・潰瘍をきたし、この感染症は痛みを伴い、治っても再発を繰り返します。症状がない時でもウイルスの排泄は続いているといわれ、オーラルセックスでこのウイルスが性器に感染し、2〜5日の潜伏期を経て性器ヘルペスとして男性では亀頭や包皮に、
(4) 梅毒:口唇・口腔内にも梅毒病変ができることがあり、梅毒トレポネーマという菌がオーラルセックスによって、性器に病変を作ります。性行為後約3週間の潜伏期を経て男性では陰茎亀頭部やその上の包皮、この病変は自然に吸収され良くなりますが、病気が治ったわけではなく、そのあと全身感染となり、約3か月後にはII期病変と呼ばれる手のひら・足の裏を中心に乾いた発疹が現れ、進んでいきます。治療には抗菌薬が使われます。
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オーラルセックス(口腔性交)による性感染症はどのくらいあるの。
性交渉の際にオーラルセックスを行うカップルは特に若い世代に多く、調査の結果では7割以上で行われており、その際にコンドームを使用するのは2割程度という調査報告があります。
また、性器に淋菌をもっている人の10〜30%、クラミジアをもっている人の10〜20%で、口腔内にもこれらの菌が認められると報告されています。
このため、オーラルセックスにより性感染症が拡がることが懸念されています。
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オーラルセックス(口腔性交)による性感染症の心配があった場合はどこに受診すればよいか。
性感染症は一般的に男性では泌尿器科又は皮膚科、また、口腔内の性感染症に関しては耳鼻咽喉科で診察している場合もあります。予め電話してから受診することをお勧めします。
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オーラルセックス(口腔性交)による性感染症の検査はどんな検査をするのか。
最近では、男性なら初尿と咽頭擦過検体の両方を、咽頭擦過検体の代わりに咽頭うがい液で口腔内に菌がいないかどうかを調べることの方が菌を見つけやすいという報告もあります。
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オーラルセックス(口腔性交)で性感染症に感染しないためにはどうすればよいか、予防方法は!
男性用コンドームを陰茎に装着すること、ヘルペス感染症のように皮膚と皮膚の接触でも感染するものについては、コンドーム防げないことも、
性器や口腔周囲に異変を感じる時は、オーラルセックス(口腔性交)を含めた性行為を差し控え、早期に医療機関を受診することが望まれます。
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キスだけでも性感染症はうつるか。
仮にパートナーが口腔内に淋菌やクラミジアを有していても、通常のキス程度であれば感染が成立するほどの暴露がないため、感染リスクは極めて低いと言えます。ただし、ヘルペス感染症のように皮膚と皮膚の接触でも伝播するものについては、キスする際に皮膚が接触することで感染する可能性があります。
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