▼渡辺さん:
同性愛者の多くが、人生において数回は異性愛者の振りをして、
自分の性的指向を隠したことがあると思います。
なぜなら、この世界は想像以上に性的指向による差別が多いのです。
差別には大きなものから小さなものまで様々ですが、
多かれ少なかれ同性愛者は、何らかのかたちで差別(あるいはそれに近いもの)を受けます。
ですから、自分の性的指向を隠すという行為は一種の自己防衛だと私は思います。
例えば、10人の友達全員に自分が同性愛者であることをカムアウトすれば、
最低でも1人くらいは拒否反応を示す人がいるでしょう。場合によっては関係悪化に繋がります。
そのため、人生全般において何らかのかたちで自分の性的指向を隠し、
信頼できる人だけに自分の性的指向や性的嗜好(Sexual Preference)を伝える、という行為は、
今のようなこの現状では必要なことだと思います。
ですから、「騙す」のではなく「自己防衛」の一種なのではないでしょうか。
LGBTI(性的少数者)であればみんな不幸というわけではありません。
誰かと付き合ったり、誰かと衝突したり、話し合ったり、喧嘩したり、遊んだりして、
人と触れ合っていく過程で、自分の中の居場所を確立していくものだと思います。
今はまだその居場所が出来上がっていないかもしれませんが、焦る必要はないのですよ。
いつか、自分の好きなところも嫌なところも、素直に認められる日がきたとき、
気づけば自分の中で居場所というものが出来上がっているでしょう。
今は受験を控える中学三年生とのことですから、
まず自分の目の前にある課題を解決するほうに、頭を使えるといいですね。
同性愛者に理解のある人というのは、性的指向に関わらずに必ずどこかしらにいます。
あなたの人生を応援してくれる人、サポートしてくれる人、一緒に過ごしてくれる人は、
必ずあなたの前に現れます。それが早いか遅いかの違いだけではないでしょうか。
ちゃんと相互理解できる人が現れたとき、あるいは、自分の中に揺るぎないものができたとき、
そのときに初めて自然と気持ちが落ち着くのでは、と思います。
同性愛者が万人に理解されることは難しいですが、少なくとも自分は「おかしい」「騙している」などという罪悪感を少しでも捨てて、できれば楽しく面白く人生を過ごしてもらいたいです。
あなたと同じような人が自分以外に何万人、何十万人といることを忘れないでくださいね。
価値観が多少違っていても、「仲間」というのはどこかしらにいるものです。
無駄に読みづらい長文で申し訳ありませんが、では失礼します。