頭が悪いひとほど頭を使おうとする。
いえいえ、たしかにわたしは誤字が多いですが、今回は誤字ではありません。
おそらく「頭のいい人ほど頭を使い、頭の悪い人ほど頭を使わない」と言いたいのでしょう。
あたりまえに考えると、たしかにその通りです。
しかし現実においては、頭のいい人ほど頭を使わず、頭が悪い人ほど頭を使う傾向にあります。
頭のいい人は、頭がいいがゆえに、机に向かって考えようとします。
頭がいいから、思いついたことを頭で覚えようとします。
そうはいっても、限度があります。
人間ですから、思い浮かべようと思っていても思い浮かばないときがありますし、覚えていてもうっかりと忘れることがあります。
頭が悪い人は、自分の能力の低さを自覚して謙虚になりますから、代替手段を選びます。
その「頭以外」というほうが、実際の頭よりもよいことが多いため、結果も頭がいい人より、よい結果を出す場合が多いのです。
わたしが本を書くときの発想について、お話ししましょう。
本を書くときには発想が重要であることはいうまでもありませんが、その発想はどのようにして得ていると思いますか。
机に向かって、ウンウンとうなっているイメージがあるようですが、そんなことはしません。
机に向かっているばかりでは、よいアイデアも発想も、なかなか出てきません。
頭がいい人なら、できるかもしれませんね。
しかし、わたしは頭が悪いですから、そんな高等な技術はできません。
ですから頭を使わないで、発想を得ようとします。
どのように発想を得ようとするのかというと、取りあえず今、目の前にある日常に一生懸命になります。
平日は一生懸命に仕事をして、休日には温泉でゆっくりしたり、テーマパークへと遊びに出掛けたりします。
この「一生懸命」が、とても重要です。
一生懸命になっていると、五感のすべてが総動員され、最高潮に達します。
今、目の前にある日常に一生懸命になっていると、ある瞬間、パッとひらめきます。
ひらめこうと思わなくても、五感を通して、さまざまな体験をしていると、パッとひらめくことがあるのです。
それは仕事中であったり、温泉でのんびりしているときだったりと不定期です。
そしてその瞬間に、紙に書いて、思いついた発想を書きとめるようにしています。
どうして書くのかというと、これも、頭で覚えるとすぐに忘れるからです。
頭がいい人は覚えられるかもしれませんが、頭の悪いわたしはすぐに忘れます。
だから謙虚になって、紙に書く方法に頼ります。
一度紙に書けば消えませんから、そもそもの記憶力は関係ありません。
あとから読みかえしていると、また新たな発想が思い浮かびます。
思いつけば、また紙に書いてねたをつくります。
その繰りかえしにより、これまでたくさんの発想やアイデアを得てきました。
たくさんの文章を書いているわたしのことを、いつも机に向かっていると思っている人は多いようですが、意外と逆です。
一生懸命仕事をしたり、遊んだり、あるときはのんびりとしています。
わたしは頭が悪いがゆえに、頭を使わないようにしています。
結果として、たくさんの本を書くことができています。
頭のいいプロの作家よりも、たくさん本を書くことができています。
頭の悪い人のほうが「使い方」にポイントを置くため、頭のいい人よりも、たくさんの仕事をこなすことができるようになっています。
今、あなたの目の前にあるたくさんの文章たちが、なによりの証拠です。
わたしですら、自分自身で驚きます。
頭を使わなくても、これほど結果が出せるのかとビックリなのです。
頭を使わないようにしよう。
頭が悪い人ほど、頭がよさそうに見られる努力をしよう。
頭と体の両方で行動する。頭で間接的な行動、体で直接的な行動。
頭の使い方を、上手になろう。
成功者は、頭を磨かない。人柄を磨く。