▼ちからさん:
>周りの友達や、世間の人から、バイ(ゲイ)と、見られなくするには、どうしたらいいんすか!
ボクのゲイ仲間からは、よく ちからさんのような、次のようなことを
相談される事があります。
「自分はよく周りにゲイっぽいとかおかまっぽいと言われるんですが、
そういうのって見た目で分かるものなのでしょうか。
どうやったらそう思われないようになれますか? 男っぽく見られたいです。」
さて、
この人が果たして実際にゲイあるいはおかまであるのかは分からないけれど、とにかく最初は「なんて失礼なことを、おっしゃる」と思った。
彼は「ゲイ相談」ということなのだから、
ボクたちが(たとえ厳密には「ゲイ」という名付けを100%受け入れてなくとも)ゲイであるだろうという前提で聞いて来たのだろうと思う。
でも、そこで「ゲイやおかまに見られたくないんですがどうしたらいいですか?」と聞くのは、
薄目の顔立ちの白人がアジア人に「時々アジア人だと思われることがあって嫌なんですけど、どうやったらアジア人だと思われずに済みますか?」と聞くようなものでしょう?
つまり、
「あなたのようだと思われたくないんですが、あなたのように見えなくなるにはどうしたらいいですか?」と。
僕は即座に、
「そんなんしらねーよ」と言いたかった。
でもとりあえずいろいろと彼と話したので、
そのとき話したことに加えて、いくつか書いておきたい。
(1) ゲイとおかまは同じカテゴリーではないのに、あなたがゲイっぽいともおかまっぽいとも言われるのは、明らかに周囲の人の偏見に基づいたレッテル張りであって、
実際に多くのゲイと見た目の共通点があるとか多くのおかまと見た目の共通点があるというわけではないだろう。
(2) 男っぽく見られたいという願望は、もしかしたらFTM男性かもしれないから無下に批判出来ないけど、そもそも「ゲイ」「おかま」=女っぽいという偏見に基づいてる。
そういう人もいるかもしれないけど、人間誰しも女性っぽいところと男性っぽいところ、どちらとも言えないところを持っている。
(3) ゲイやおかまだと思われたくない、というその気持ち自体が、
あなた自身がゲイやおかまを蔑んでいる証拠なんじゃないか。
あなた自身が実際にゲイあるいはおかまあるいは両方だったとしても、自分のそういった部分を受け入れられていないんじゃないか。
ゲイやおかまだと周囲に思われることは、非常に大きな精神的苦痛を伴うし、時には雇用上の問題や医療現場等での不利益につながったりもする。
あなたはもしかしたらそういった苦痛の一部を味わっているかもしれないし、それを避けたいと思う気持ちは実際のゲイやおかまも同じ気持ち。
でも、
だからこそ、「男らしく」なって自分だけいわゆる「ノーマルな人」の特権を手に入れるのではなく、「ゲイやおかまだと思われたら大きな不利益を被るような社会」を変えようとしている当事者と一緒に戦ってもらいたい。
あなたが感じている苦痛を同じように受けている当事者たちを尻目に、多数派の側に行って自分だけ助からないで欲しい。
ボクは常日ごろ、
自分自身の人格を尊重すること。
そして、
変えられることのできない、セクシャリテーとしての「ゲイ」を受け入れる度量をはぐくんでいただきたいと
切に願ってやまないのです。