曜の約束をすっぽかされ、火曜は雨の中三十分待ち続けた薬屋ですが、いよいよ水曜、痺れを切らして家庭訪問にふみきりやした。
家に明かりあり、と確認して、五分ほど我を鼓舞して、チャイムを鳴らす。
ピンポンピンポーンー
・・・・・・
無反応。明かり暗くなる。
めげずにもう一度、ならいやした。
ピンポンピンポーンー
・・・・・・
あらら、家に人がおるのにでねぇ、居留守を使おうとは、こりゃ正直予定外でございやした。親御さんと遭遇した時の言い訳がおもいついたあっしですが、門前払いとは、意外でございやした。
結局水曜も悶々として帰宅しやした。
しかし、黙っていなくなるのを許すほど、この薬屋も甘くはありやせん。今朝ほとんど眠れていねぇ体をただき起こして、登校するだろうひろきをまつ作戦です。
今考えると、血まなごでバイクに乗る大男は、ストーカーどころが、死神の風采すらおびたやもしれやせんが、とにかくひろきにあって問いただしてぇ一心で馳せやした。
ひろきの家にいくつもりでございやしたが、途中の小道で、なにやら見慣れた姿かありやした。憎いあやつを、見まごうことか。
すかさずバイクのそくどを緩めて、向かってくるひろきにこえかけた。
薬屋「おいっ」
ひろき「あっ・・ん・・」
明らかにあっしにきづいた様子でしたが、野郎はあわてることもなければ逃げもせず、ただ軽くうなずいてはあっしからぱっと目をそらして、歩いて去っていこうとしやした。
こりゃ薬屋も怒り心頭でやんす。歩くひろきにおいつく。
薬屋「おい、どこにゆく」
ひろき「えっおはよ、学校」
・・・んなこたぁわかっておるわ。
薬屋「お前土曜日どうした」
ひろき「土曜きたでしょう?あれね、寝てた」
んと、不思議と怒りがうせたのは、やつの甘ったるい声のせいか、それとももはや失笑するしかねぇのか、と一瞬思いをめぐらすうちにー・・・
ひろき「ともだちとまちあわせをしているからもういっていい」
といいながらあいもかわらずかわゆい笑顔をのこしてまたいこうとする。
薬屋「おいまで」
ひろき「友達とまちあわせしているから・あっおにいさん昨日うちに着たでしょう。あれおかあさんがいたの。もうこないほうがいいよ、おかあさん今度来たら警察に通報するって」
はっ??
はぁ。。。。!
薬屋「んあっ!おりゃあ別通報されたってこまることねぇんだよ!俺お前をおかしたか?いやらしいことでもしたか?あぁっ?!じゃあなに、お前にあうためにゃ毎日早起きしなぎゃならんのか」
条例と残り少ない倫理観をふるいただせて、実は前回、あっしの方からは何もせずにひろき観察をしていただけだったりしやす。
ひろき「じゃあおはようのチューでもする(笑)」
薬屋「はぁ・・・おっお前なにこっぱづかし#%$'&qたよ」
恥ずかしさと眠さで、あまりろれつがまわっとりゃせん。
ひろき「それに次に会うのは今日(木曜)の約束でしょう?」
薬屋「あ・・んそっか、間違いだ」
ひろき「おにいさんぼけじゃあだめだよ(笑)バイクで学校までおくつて」
ぼけてなぞおるものか、貴様が二度もすっぽかすからおれがしびれをきらしただろうか。って、バイク登校?友達はどうした?
薬屋「あっお前ともだー」
ひろき「あっそうだだめだ怖い先生がいるやばいよ」
薬屋「・・・・・・」
しばしひろきをみる。しばしというより2、3秒程度でやんすが、すこしながくかんじやした。
思わずそっと手伸ばしてやつのほほをなてた。
薬屋「あんまりしんぱいさせないでくれ・・・」
ひろき「おにいさん!てぇ冷たいよ」と言っておれの手をほほからはがして握った「あったかいでしょう」
薬屋「あぁ・・じゃあ今夜はちゃんとくるな?」
ひろき「えっあうん。」
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あって説教するどころか、あいも変わらず小僧のペースに巻き込まれる薬屋でありやした。
ひろきについて。あっしが思うに、年齢的に考えてもそうですが、約束をすっぽかす、うそをつくのが日常茶飯事で、あまり罪悪感がねーように思えやす。あっしのことも、おにいさんか保父さんか遊び友達程度にしか思っていねぇきがしてなりやせん・・・・まだ兄さん方の感想やご意見をいただければ幸いです・・・・
今夜はひろき
ちやんとくるかな。。。。はぁ・・・・つくづくあっしも、業が深い・・・・