説明が遅くなったが、俺は今ルームシェアの相手を探している。
今年の6月、2年間ルームシェア をしていた相手が、突然の転勤となり、俺は一人残された。
そいつと俺は付き合っていた。同い年、体も俺と同じくらい、短髪、ヒゲ、切れ長の一重と
俺の好みをもろに具現化したような男で、体の相性も良かった。
どちらかというと、俺の方に熱があって、尽くしていた。
「会社の命令だから。」
とトシ(そいつの名前)は言っていたが、多分二つ返事で転勤の話を承諾したと思う。
そんな奴の転勤話とともに、遠距離が無理な俺らの2年の恋は終わり、今まで二人なら払えていた家賃を俺一人で払うこととなった。
正直、その支出は厳しく、かと言ってこの物件を手放すのは惜しかった。
景色もよく、地の利も良かった。駅から近いし、もし恋 人ができた時は同じ様にここで暮らしていきたい。
そんな願望があった。昔の男と住んでた所でまた新恋人と過ごすのもどうかと思ったが、手放すのはもう少し考えようと思ったのだ。
そんな俺が出した解決策が、期間限定のルームシェア相手を探すというものだった。
その条件として
●こっち(ゲイ)の人間であること。
●期限(一年以内)を決めてシェアできること。
●生活力がある普通のやつ
そして一番重要だったのが
●お互いがタイプではないこと。
であった。
というのも、向こうが俺に惚れてしまった場合、期限が来た時にいろいろめんどくさくなりそうだったため
相手が俺に惚れないというのは絶対条件だった。
そして、俺が 相手をタイプではない、という条件は、俺自身が今はひとりで心を整理する時間がほしいため
シェア相手にそういう要素はできるだけ持ち合わせていてほしくなかった。
つまりまぁまとめると
「ゲイで清潔に家を使って、俺の心の整理がついて恋人ができるまで家賃を払ってくれる人。」
という、なんとも都合の良い条件なわけだ。
我ながら、あまりの都合の良さに自己嫌悪を感じたが、まぁ言うだけならタダと思い、シュウに飲みの席で話したのである。
シュウは意外にもその話を覚えており、俺すら持ちかけを忘れていた頃に
「シュウが言ってた条件に当てはまる子、いたよ。」
と火曜日、仕事中にメールを送ってきた。
俺は一瞬呆けた後 に、記憶を取り戻し、トイレに行って
「一刻も早く紹介してくれ。」
とメールを送る。
「おっけーw じゃあ今週金曜の夜な。今夜と水木はちょっと都合悪い。」
というわけで、先ほどの展開になった次第だ。
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ちなみに金曜の夜はシュウは俺の部屋に来たが、何もやらずにお互い爆睡し、やつは朝方帰っていった。