俺は別にこういうタイプが嫌いというわけではなかった。
ただ、学生時代にしても今の職場やこっちの世界にしても、関わる機会がなかった。
どうしてもつるむ仲間が同身長、同体重の奴らになってしまう。
別に選んでいるわけではないのだが、縁というやつだろうか。
たまたま最初の席が前後左右してたり、たまたま忙 しくない時期にメッセが来て続いてリアルにつながったり
無意識の内に選り好みをしている可能性も否定できないけど、特に意識しているわけでもない。
だからシンタロウみたいなタイプは何を考えているのかがよくわからない。年の差があれば尚更だった。
仕事だったら、適当に話を合わせて適度な距離感に落ち着けるけど、一緒に住むなら、短期間といえどそんな無理はしたくなかった。
だから、最初にシンタロウが越してきた時に話をした時以降、1ヶ月ほどまともな会話はしなかったと思う。
というより、俺が次の恋に進むために心の整理をつけていたこともあって、ルームシェアをしていることすら忘れつつあった。
俺は社会人だから朝から晩までいない が、相手もなかなか忙しいらしく、朝たまにリビングで会うくらいだった。
その時もお互い朝はテンション低いから
「・・・はよっす。」
みたいな挨拶のみ。
この辺の距離感というかテンションが合ったのは助かった。逆に
「どこ行くんですかー!」みたいなテンションだったらちょっとうんざりしたかもしれない。
夕飯は相手はまかないが出る所でバイトをしているらしく、ほぼ外食。
毎日バイトをしているわけではなさそうだが、バイトでない日もうまいこと節制して外食をしているようだった。
おかげで俺はたまに料理したり、相手に気遣うことなく夕飯を食べ、食べながら心の整理をつけることができ
次第にシェアをしていることすら 忘れていった訳である。
で、まぁ俺も1ヶ月ほどすれば大体の整理がつくわけで、そろそろ十分かなと思っていた11月の夜だった。
突然シンタロウに話かけられる。