風呂に入る前には確かに起きていたシンタロウが風 呂から出たらソファでくかーっと寝ていた。
え、まさかもう書き終わったのか?ビールが空になっている所からすると、無事終わったのだろう。
が、今はそれどころじゃない。なんで寝てるんだ。俺一人じゃん。
風呂から出たら話相手がいると思ってたのに、俺一人じゃん。
若干パニックに陥る。誰かが寝てしまった二人きりの空間は、一人の時とは別の恐怖感があったりする。
起こそうと肩に手を伸ばしかけて、とどまる。
この30分で眠りにつくほどシンタロウ疲れてたのか・・・。
そう考えると俺の恐怖の緩和剤として起こすのはためらわれる気がした。
しかし、ここで寝かすと風邪を引く。迷った挙句、今夜は俺のベッドで一緒に寝ることにす る。
俺は実はダブルベッドを使っている。
(引越しをしぶったのも、一つにダブルベッドがしっくりくる物件を探すのがめんどくさいという理由があった。)
そのため、二人は余裕で寝れる。今夜は申し訳ないが隣で寝てもらおう。勝手に部屋に入るのも悪いしな・・・と都合の良い言い訳を考えてみる。
ソファで寝てしまったシンタロウのメガネを外し、お姫様抱っこで俺の部屋に運び、奥の方へ寝かす。全然起きない。
俺は歯を磨き、照明を落として布団に入る。
隣でシンタロウの寝息が聞こえる。やっぱり隣に誰かが寝てるだけで全然安心感が違う。
が、やはり恐怖感は完全には拭えなかった。もう忘れて寝よう。てか、明日のシンタロウへの説明を考えない と。
そんなことを考えながら徐々に眠りに落ちていった。
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その夜久しぶりに怖い夢を見た。
映画の影響か知らないが、やけに音量が大きい夢だった。
耳に音がこびりついて離れない。現実ではありえない世界も、俺にとってはありえる世界。
そんな夢を見た。
後で話を聞いたが、うなされてはいなかったらしい。
その代わり
朝起きると俺はシンタロウを抱きしめていた。