木曜の夜。仕事から帰るとシンが飯を作ってくれていた。
就活が終わって、夜は家にいることが多くなった。てか今試験前か。ほとんど単位残ってないだろうけど。
「おかえり。」
「ただいま。飯さんきゅ。助かる。」
「うん。良いよ。俺も練習になるし。」
そう言って食卓に料理を並べる。
俺は着替えてリビングに戻る。
「いただきまーす。」
料理を始めたばかりだからか、1品ものが多かったが、結構うまかった。何事も要領良いのかな。
テレビを見ながら、シンの試験の話とか友達の話を聞いたりする。
就活終わってからゲイの友達遊ぶ機会も増えたようだ。俺もそうだったな。
話の流れでシンが
「俺もカズさんみたいにダブルベッドで寝る様な生活したいなー。」
と言い出す。俺はなんかチャンスの様な気がして、その話を拾う。
「ダブルベッド良いよ。シングルに戻れなくなるって欠点はあるけどな。」
「あはは。贅沢な欠点w 俺の布団で寝てみるか。」
寝たい。シンとだったら布団で寝たい。
そう思ったのを心の脇に置いて
「そいや、前もシンダブルベッドで寝てみたいって言ってさ。」
「うん。」
「あの時は寝転がっただけじゃん。今日は実際寝てみる?」
俺はちょっとドキドキしながら聞いた。
「寝てみるって・・・カズさんどこで寝んの?」
「ダブルベッドだし隣で寝るよ。」
「・・・・やめとく。」
あっさり断られ俺はがっくりする。そうか。
自意識過剰だったことを思い知らされる。
更にシンは
「起きたらまたカズさん抱きついてるかもしれないし。」
と小声で言う。
「抱きつかないってw ホラー見てないから。でもまぁ今度俺が外泊する時は寝てみて良いよ。快眠だぞ。」
そういうとシンは返事をしなかった。
その後少しシンは怒っている雰囲気で会話が続かなかった。
せっかく飯、作ってくれたのにこんな雰囲気になって俺は少し悲しかった。