飯が終わってそれぞれの部屋に戻る。俺はなんとなくショックから立ち直れそうになかったから早めに寝ることにする。
シンが不機嫌になったのもちょっと凹んだ。
思ったより向こうは意識してなかったんだな。気持ち言わないで良かった。
明日の予定を確認し着替える。明日は金曜だからシュウでも捕まえて飲みに行くかな。
そんなことを考えて布団に入って15分後。うつらうつらしているとノックが聞こえた。
俺は夢かと思ったが一応返事をする。入るよ とシンの声。
扉が空いて締まる。暗闇の中にシンのシルエットが見える。
俺はちょっとびっくりして目が覚める。
「遅くにごめん。」とシン。床で正座してる。
「どうした?」
「いや、ちょっとさ。」
ここで言葉区切ってから
「最近カズさん変。なんか俺のこと試してない?」
と勢いよく言い切る。少し怒っているようにも見える。
俺はいきなりそう言われて相手の真意が読めないのと、暗いのとで少し黙る。
確かに試してはいる。さっきの誘いもシンの反応次第では、シンに思いを伝えようと思っていた。
ルームシェアの相手だから慎重になってしまうのは仕方がないのだ。
で、それにシンは気づいていた。気づいてさっきみたいな反応だったってことは。
「あぁ、うん。まぁ。」
俺は思い切って肯定する。
「なんでそんなことすんの?カズさん俺のことタイプじゃないならそんなことする必要ないじゃん。」
俺はもう我慢できなかった。
「いや、好きだよ。俺シンの事が好きだ。」
言葉短めに言った。
シンは身じろぎをしたが、何も言い返さない。
「最初はタイプじゃなかったよ。てか今もシンみたいな子を他に見てもタイプとは思わない。
でもシンだったら、抱きしめたいと思うし、エッチもしたいと思う。
もっと言えば、ずっとここで暮らしていく恋人がシンだったら良いなって思ってる。」
そういうとシンは
「だ、そんな・・・」
「信じてくれないかもしれないけど、前、朝に抱きしめた時はそんなこと思ってなかった。
でも最近のシンの反応を試すような素振りは全部その為だ。
脈無いのに告白しても生活に支障きたすだけだからな。」
そういって俺は深呼吸をした。暗闇だけど、俺はシンを見て言ったし、シンもこっちを見てるのがわかる。
そのままお互い黙っていた。
次に口を開いたのはシンだった。
「俺も、俺もカズさんが好きだ。最初は違ったけど。俺もこれからカズさんとこれからも一緒に暮らしたい。」
シンプルな言葉だった。
俺はまさかこんなことを言われるとは思ってなかったが、話の途中で少し期待していた部分もあった。
だからすげー喜びたかった。だけど、暗闇がなんだかそういう雰囲気にさせてくれなかった。
人間が過剰に喜んだりするのは照れ隠しもあるのかもしれない。今は暗闇が、照れを紛らわしてくれている。
俺はそのまま黙ってベッドから降りてシンを抱きかかえ、ベッドに運ぶ。
シンの全身が熱くなっているのがわかる。ようやくここまできた。
俺は後ろからシンの耳にキスをする。
「して良いか?」そう聞くとシンは黙って頷いた。俺は久しぶりにこんなにドキドキしている。