小さい頃は純粋で…
雪兎「巳智は大きくなったら、なになりたい?」
巳智「僕は雪兎の嫁になりたい!」
本気でなれるって思っていた。
でも、現実は残酷でそれを知って…
俺は雪兎さんと距離を置くようになった。
俺、中村 巳智 (ナカムラ ミサト)は
高校2年生。
楠 雪兎(クスノキ ユキト)さんは大学1年になった。
めでたく高校デビューを果たした俺は、
髪を明るめの茶色に染め、ワックスでセットして、着くづした制服でそれなりの高校生活をエンジョイしていた。
雪兎さんに告白まがいをしたのが、
5歳の頃で…現実を知って距離を置き始めたのが中学1年の時だから、かれこれ5年くらいはろくにあっていない。
家が隣どうしだから、
見かけることや会うことはあるが、
挨拶程度しかしていなかった…
いまでも好きかと聞かれれば、
正直わからない。
でも、会ってはいけない気がした…
今日もいつものように、
着くづした制服とセットした髪で学校へと
向かう。
輝「巳智ー、おはよ」
巳智「おはよ」
こいつは一 輝 (ニノマエ アキラ)。
中学からの付き合いで親友って言える存在だ。
輝と他愛もない話をしながら俺たちは学校へと向かった…
キーンコーンカーンコーン。
HRの終わりを告げるチャイムが鳴り、
俺は輝を連れていつもの場所…
サボりの定番屋上へと向かう。
梅雨が明けたばかりで、
心地よい風が吹く屋上で昼寝するのがここ最近の日課になっていた。
輝「なぁ、巳智?」
巳智「ん?どした?」
輝「巳智は好きな人いるのか?」
巳智「いるよ…」
輝「やっぱり、高校生だしさ…
彼女欲しいよな?」
巳智「だなぁ…」
だけど、俺の好きな人はいくら足掻いて
手を伸ばしても届くことのない、
叶わない恋なんだ。
輝「はぁ…彼女欲しい。」
最近、輝はやたら彼女ネタをだしてくる。
めんどくさい俺はそれをスルーして眠りにつくことにした…