その思いは、自分が17になったころ、コータと知り合って1年と少し経った頃にはっきりと自覚できる程度になっていた。
当時は、バカバカしいと思っていた。
リアルでの付き合いがあるわけじゃないし、まして顔も声も知らない相手。
そんな相手に恋愛感情を抱くのは危険だし、正しくないと考えていた。
その当時、高1の頃から付き合っていた彼女と別れて暫く経っていたのもあり、それで自分が寂しがっているだけだ、という考えも持っていた。
でも、そういう理性的な部分では、なかなかコータへの感情を抑制することが出来ずにいた。
それからも、お互いに話すことはそう変わらなかった。
お互いの日常話が主で、たまに新作で買ったゲームの話や、学園祭での苦労話なんかもしたりした。
向こうが俺に特別な何かを感じている、という素振りはなかった。
だけど、俺は自分がコータに抱く思いが少しずつ大きくなっているのを感じていた。
俺はコータの「優しさ」が好きだった。
あいつはこっちが少し落ち込んだようなことを話すとすぐに励ましたり共感してくれたりした。
それについて俺が感謝したりしても、「僕はくーらさんが喜んでくれたらそれでいいから」と、こちらへの気遣いをしてくれた。
その物言いであっちが俺を好きなんじゃないかと勘違いした時期もあったけど、違った。
あいつは皆に等しくそういう振る舞いをしていて、ニュートラルで優しいのだ。