「先輩♪ちょっと質問いいですか?」
自習室でヒデヤがかわいい笑顔でそう話しかけてきた。
浪人して早くも数ヶ月。俺は同じ大学を目指してる高校の後輩ヒデヤと仲良くなっていた。ヒデヤは背は低いが運動神経がよくてサッカー部でしょっちゅう活躍していた。そしてかわいい笑顔、みんなに好かれる明るい性格。そんなやつだ。
「ぇ…この問題?ちょい待って(汗 今考えるから…」
「早く〜先輩ー」
「もしかしたら出来んかも…」
「えーまじっすか」
一緒に問題をのぞき込む。頭がくっつくほど近くにいる二人。
横目でヒデヤを見た。真剣に問題を眺めている、その横顔に胸が苦しくなる…
『抱きしめていい?』
なんて心の中で言ってみた。
アホか…笑
再び問題に目をやった
実は俺にとってヒデヤは初恋の人。。。中三の時、中2のヒデヤを見て俺は一目惚れしてこっちの世界に目覚めた。でも話したことなかったし話しかける勇気もなかった。中高一貫校だったため長い片思いになった。間に彼女や彼氏がいたが、別れた後、結局、ヒデヤを眺めてる自分がいた。
そのヒデヤが今自分の隣にいる…
この数ヶ月、ヒデヤと話せば話すほど、ヒデヤを知れば知るほど好きになっていった…
『ねぇ、ヒデヤ。。ずっと…ずっとずっと好きだった。世界中誰よりも…好きだった…』
問題から顔を上げるとヒデヤも同時に顔を上げ、目が合った。数秒間見つめ合う…
『好きだ…』
「ヒデヤ、あのな…俺さ……俺……」
「なんですか??先輩」
ヒデヤは不思議そうにくりくりした目を俺に向ける
『好きだ!誰より君が好き』
「あんな・・・俺告白する!」
「え〜?なんですかぁ??」
『すきだ…』
「・・・・俺」
『好きだ!』
『好き・・・だけど』
『・・・』
「・・・俺、この問題解けた!」
「さすが先輩!」
「こここうやって…
教え終わって自習室に帰るヒデヤ。最後にまたあの笑顔を向けてきた。
『言えるわけないよ…わかってる…』
俺は、あの笑顔が見れなくなるのが怖かった。何より友達以下になるのが怖かった…。
そして決めた…
この笑顔を、友達として守っていこうと。
もし、一緒に大学に受かってもっともっと仲良くなったら、その時は…
ヒデヤ、その時は俺の昔話聞いてくれるかな