俺達には毎年恒例の行事みたいのがある。
秋になると春に花を咲かせる
チューリップやクロッカスとかの球根を植える作業だ。
今年もその季節がやってきた。
最初に鬱になっちゃったのは3年前の秋だったね。
あの時から二人の行事だった球根植えは
俺一人の行事みたいになっちゃったな。
でも、春になって花が咲き始めるとサトシの心も
少しずつ雪が溶けていくみたいにあったかくなってった。
やっぱ花が咲いてるのを見ると癒されるんだな。
そして毎年それの繰り返し・・・
今年の10月も終わろうとしていたころ
俺は「球根植えんの手伝えよ」
「こんだけ植えんの結構大変なんだけど・・」
サトシ「うん・・・」
どの鉢にどれを植えるかあーだこーだやってるうちに
サトシの目から涙がこぼれた。
俺「どした?」
サトシ「ごめん・・ホントにごめん・・」
「いつも楽しみにしてた旅行にも行けなくなっちゃったし
迷惑掛けてばかりだね ホントにごめん・・」
俺「ばーか。なにそんなに謝ってんだよ。
俺はサトシがいてくれるだけで充分幸せなんだぞ。」
「俺たちはまだ若いんだから旅行なんていつでも行けるしな。」
「それに迷惑かけてるなんて思うなよ。」
時にはイライラして俺に八つ当たりしてくることもある。
でも俺はそれを全部受け止めてやるから。
気にしないであたってこい。
俺は心底おまえを守ってやらなきゃって思ったよ。
あと何年いや何十年って一緒に笑って過ごしたいから。
サトシは俺との未来をどんな風に思ってる?
サトシも同じように思っててくれてるのかな?