その日もいつもと同じように時は流れていた。
高校2年の春。
眠い始業式が終わり
新しい教室へ足を運ぶ。
クラス替えをきっかけに初めて見る顔も多々…
と言っても
興味はなかったので自分の席を見つけてさっそくいつも通り居眠りをはじめようとした。
「おーい」
意識がとぶ直前に誰かが俺に話しかけてきた。
「はい?」
「おはよ」
知らない顔だ。なぜか笑顔であいさつを交わしてきた。
「お前イチって言うんだろ!俺のことはシンって呼んでくれ」
初対面で図々しいやつだなー…
そんなこと思いながらそいつ、シンをまじまじと見ていた。
「ん?顔になんかついてる?」
「別に」
「んだよ〜冷たいなあ」
さっきからこっち見てずっと笑ってる。
シンのその笑顔を見てると、すごくドキっとしてなんだか落ち着かない。
「俺もイチみたいに髪伸ばしてぇ〜」
シンは野球部らしく、坊主あたまだ。体もややがっちりしてるのも、野球部だからか、と妙に納得。
対する俺の髪型はそんなに長くはないが、一応ちゃんとセットしていた。
髪をいじるのは嫌いじゃない。
「まっ!野球は坊主が一番だけど!帽子かぶったらセットしても意味ないし」
君は苦笑いしてそう言ってたね。