暖かいひさしの中…。
俺は桜並木を一人で歩いていた。。。
ある人に会いに行く為に。
この春に高校を卒業、そして大学に入学するまであと10日。
生まれ育ち、さまざまなことを体験してきたこの街を離れる名残惜しい気持ちを胸に、桜が散るこの道をよく散歩したものだ。
出発は明日。最後の散歩となるであろう…
ふと風が吹き、桜の花びらを巻き上げて俺を一瞬包み…去っていった。
そう、あいつのように。。。
そんなことを思い、高校入学して間もないころ…3年前のことを思い出して見た。
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【俺は空に恋してた…】
「おーい、和也ー。全体練習始まるぞー。」
友人が呼ぶ声が聞こえる。
俺は和也。高1。
実家は町の弁当屋。
普通の高校に通い、将来は音楽家の道を選択すべく、吹奏楽や合唱に明け暮れていた。
見た目や、性格といえば。
小さい身の丈。眼鏡にあこがれていたが、あいにく視力はよく…そのため、よく伊達眼鏡をかけていた。
性格は、つんでれと言われる。ちょっと短気で、心を開いた人の前以外では絶対に笑わない。笑ってしまうと、ダメなのだ。油断を見せると、弱みに付け込んでくる。信用できない。
そんな風に、俺はちょっとかたい人間。
今は部活の時間。
昔は吹奏楽をしていたけれど、高校では吹奏楽が無くて、今は合唱部。
最初はとても嫌だったけれど、やってみると案外楽しい。
最近は、夏から秋にかけての全国大会の練習に明け暮れていた。
この合唱部は全国クラスなのだ。人数は、述べ90人。そのうち、男は40人。
今やっている曲は、「生きる」
最初は訳が分からない曲だった。だが、歌いこんでいると案外素敵な歌詞。
俺は一年のなかでの、リーダー的存在だったみたいで…いろいろ仕事を任され、忙しく、疲労困憊な時期だった。
部活が終わり、下校する。
真夏の夕暮れ、ちょっと涼しい時間帯。
暑さが引いてゆくのを惜しそうに、蝉が鳴いている。
家まではそこまで遠くは無い。だから、歩いて帰宅だ。
歩きながら、ここのサイトを見た。
「市内の高校生、メールしようぜ。俺も同じく高校生。」
そんな投稿が目に入った。だから、メールをしてみた。
ちょっと、刺激的なことが欲しかったんだ。
まもなく、すぐにメールが来た。
「メールサンキューな。良かったら、今から会わねぇ?」
思春期真っ盛りの高校生同士、しばらく話した後、口を使った性行為に走るだろう。
別に構わなかった。タイプなら、儲けもの。違うなら、違うでべつにいい。
そんなことを考えて、待ち合わせに指定した駅に向かった…。