駅についた。
そのとき気がついた。
ケータイの電源が切れている。
そして、相手の写真を見ていない為、顔が分からない…。
とりあえず、駅のベンチに座り、それらしい人を待った。
かっこいい人はいる、あの人だといいな…。
タイプとは正反対の人がいる、あの人はヤダな…。
そんなことを考えながら待った。
「よっ!」
そんな声と一緒に、背後から背中を叩かれた。
振り向いた先にいたのは。。。
「で…でかい。」
思わず第一声がそれだった。
なにしろ、180はありそうな身の丈。
何かスポーツをしているのか、がっちりした肩、腰、腕、太もも…。
制服で着ている。どこの高校だろうか。。。
まぁ、ただ最初の印象は「怖い」だった。
俺「なんで、分かったと?」
相手「そんなん、見ちょったらわかるばい。キョロキョロしててんからなぁ。。。」
思いっきり、九州のしゃべり方だ。
そんなことを言いながら、荷物を置き、俺の横に座った。
おかしいだろう、全く釣り合わない二人。
周りが見てて、どんな風に思うだろう。
相手「で・・・、名前は?」
俺「な、名前?かか、和也…。西高1年です。」
相手「そうや。俺は竜二、北高1年やけん。まぁ、そんなに緊張せんでよかよ。」
お互いの軽い自己紹介の後。。。
いろいろしゃべった。
なに喋ったかは、あまり良く覚えていない。
話もひと段落して、おもむろに竜二が立った。
竜二「お前、なんか飲む?」
俺「いや、俺はいいよ。」
竜二「んじゃ、茶な。」
自販機と向かい合うその後ろ姿。
俺は、そのときに惚れたのかもしれない。
竜二「ほら。」
ぽんっと、投げて渡してくれたのは普通のお茶。
竜二「よし、お前時間ヤバイだろ。子供は帰る時間だぞ。また今度会ってくれよ。」
俺「なッ…同い年だろっ!それに、エロいことしなくていいのかよ。。。」
竜二「んあ?誰がエロィことするって言ったよ?また今度な。」
ニカッと笑いながら、俺の頭をぽんぽんと叩いてくれた。
そ、その笑顔…反則だろ。
そんなことを思い帰った。
次の日。今日は久しぶりに部活が休み。
朝から、クーラーのある部屋で、ピアノを弾いていた。
ケータイがなったから、メールが着たのかと思いケータイを開いた。
「よぅ。今から会えるか??俺んち来いよ。」
昨日会った竜二からだ。
昨日と同じ駅に向かい、竜二を発見。
家は少し遠い、二人して自転車漕いで竜二の家に向かう。
「おじゃましまーす。」
竜二「誰もいねぇって」
俺「あ、そうなんだ・・・・。」
竜二「まぁ、とりあえず。ピアノ弾いてくれよ。」
竜二の部屋には、電気ピアノが置いてあった。
俺「竜二も弾けるの?」
竜二「いや?俺、作曲してんだよ。まぁ、ジャンルで言ったら、ポップスだけどな。こんな、ごつい指じゃ弾けねぇだろ?お前のその細ぇ指なら…、繊細なタッチができるだろう、それが見たくて今日は呼んだ。」
そんなこといわれたら、弾くしかない。
とりあえず、ショパン作曲「エチュード9−10」を弾いた。
♪♪♪♪---------
最後の音を弾き終わった。
俺「ど、どうかな?」
竜二は、腕を組み、目をつぶって聞いていた。
そ、突然。
俺を、背後から抱きしめて
竜二「すげぇな!お前、すげぇよ!」
俺「痛い!いてぇから!離せって!!」
竜二「はなさねぇ!おまえすげぇ!!俺お前んこと、好きやわ!」
俺「え?今何て??」
竜二「だから、恋人になれって。こうでもしなきゃ、わからねぇか?」
いきなり、キスをされた。初めてのキスじゃなかった。
だけど、震えがとまらなかった。
そんなこんなで、俺は竜二と付き合うことになった。