親友のジョージ。今も責任感じて苦しんでるんだろう。その原因は俺だ。友達も、親も、ジョージも、あの事故に苦しんできた。
小さい頃、今でははっきり思い出せないけど、冬の雪山にいた。日光を反射して輝く雪が、まるで別の世界に感じたのを覚えてる。それまで、ただ寒いだけで嫌いと思ってた冬。でもあのときの澄んだ空の太陽と白く光る斜面、下から巻き上げる風の冷たさと太陽の暖かさが本当に心地よかった。吹き上げる風に粉雪が舞って、目に写る景色は煌めいて、この世界が好きになった。そのすぐ後、偶然TVで観たスノーボード。それまで興味なんて無かった冬のスポーツの1つ。あの景色が蘇った。暖かくて、冷たくて、眩しく光る雪と遊びたくて。まだ幼稚園児の俺はスノボをやりたいと思った。
春から雪が降るまで、体育の授業以外でも運動をやった。でも体育以外はさっぱりダメだった。「勉強頑張ったら冬休みは毎日でもスキー場連れて行ってあげるよ」親はそう約束した。だから勉強も頑張れた。スノボのためなら必死だったと思う。成績も上がり、親戚の紹介してくれた師匠の指導もあって毎年スノボは上達し、小学3年生の冬には地域のスポーツ少年団からの誘いを受けるようになった。家や距離の都合と、そこのコーチより上級の師匠に指導受けてること、勉強もあって誘いは断ったけど。その頃は本当に毎日が必死で楽しかったと思う。
けど、小学4年の冬、全てが崩れた。あの事件があったから。